2012年06月05日

『「ビジネス書」のトリセツ』 読書法はもちろん "書き方" にまで言及した逸品

4198627649「ビジネス書」のトリセツ
水野俊哉
徳間書店 2009-08-01

by G-Tools

 著者は1973年生まれ。金融機関に就職後、ベンチャー起業するも3億円の負債を抱え、取締役を解任された経験を持つ苦労人。年間1,000冊も読むという彼は、こう言い放つ。

「ビジネス書は最高に面白くて楽しく、夜中に飲んで遊びまわっているより、ギャンブルに熱中するより、女といちゃいちゃしているより、ずっとずっと楽しいし、充実した時間が過ごせるアイテムなのだ。」(p8)

 トラウマになる位、失意のどん底にいたのかな・・・ それにしたって、いくらなんでも言い過ぎだろっ! という突っ込みを入れたくはなるが(笑) この私もかれこれ10年以上もパチンコにハマっていた時期があり、ある時収支を見て愕然とした。そしてこんな誓いを立てた。

パチンコしたくなったら、本屋に行って金に糸目をつけず、好きな本を好きなだけ買おう・・・

 まずは使うお金の " 投資先 " を変えることで足を洗おう(?)と考えたのだ。幸か不幸か、いろいろなジャンルの本を買っているうちに最終的には自己啓発本が大好きになった。

三度の飯より自己啓発本が・・・

とまではいかないが、著者の気持ちも少しだけ分かる。

 さて、肝心の本の内容だが、ものスゴい! もし " ビジネス書学 " とでも名付けられた学問が仮にあったとしたら、間違いなく、学会で研究論文として発表されていたであろうクオリティ。 それくらい、研究しつくされて書かれている印象。

章立てはこんな感じ。

PART1 「ビジネス書にダマされるな!」
PART2 「ビジネス書が200%身につく読書術」
PART3 「隠れたサインを見抜く『裏読み』術」
PART4 「ビジネス書10大著者の『ここが読み所』」
PART5 「ベストセラー・ビジネス書『書き方』の法則」
PART6 「TPO別必読ビジネス書はこれだ!」


 PART1は、いわゆるビジネス書の基礎知識とも言うべき選び方や買い方といった初歩的な内容。PART2は、読書術。ここまでは普通。あえて個人的な感想を言うなら 「斜め読みや飛ばし読みでは早く読めても真に文章を理解できないから、筆者の立てた筋道を早く、正確に読みとる必要がある」 という意見には共感した(詳細は後ほど)。でも、買った本には一切書き込みをせず、付箋とコピーした紙にメモするという著者の読書スタイルは " 書き込み魔 " の私には全く理解できない、というか信じがたい・・・。

 著者のスゴさは、PART3で顕著に出る。以下の3つの観点にはいくつかのパターンがあり、
あらゆるビジネス書は各々 " ○○型 " に全て分類できるという。

・「はじめに」(読者を引き込む " 仕掛け " や " つかみ " )
・ゴールセッティング(著者自身の " 成し遂げたいこと " や " 裏目的 " )
・目次/章立て


 分類分けの詳細説明は割愛するが、彼は多読を通して市場に出回っているビジネス書のパターンを見切ってこう主張する。

「ビジネス書を読む場合には、この『タイトル』や『はじめに』に注目することで、作者の本当に言いたいことを見抜けるようになり、いわゆる『誤読』の可能性は格段に低くなる。読者としては、こうした著者の文章的テクニックをあらかじめ知っておくことで無駄に惑わされることなく、その本の真価をより掴みやすくなるだろう。」(p117)

「目次とは、本の章立てのことであるが、ベストセラーになるビジネス書には、この章立てにもパターンがある。章立てとは料理におけるお品書きというかレストランのコースメニューのようなものである。またベストセラーは骨組みで決まる、ともいえる。このパターンを知っていれば、読む際には目次をよく読んで、事前に何を書いてあるか把握したり自分に一番関係ありそうな章から読んだりすることも可能である。」(p140)

 早く読むためには

" 筆者の立てた筋道を早く、正確に読みとる必要がある "

こう言うのは容易い。しかし、著者の意図を読みとるためにビジネス書を研究し、パターンを発見し、どのタイプの本かを見極めてから読むことにまで言及している " 読書術 " の本を私は見たことがない。

 続いてPART4は、売れっ子著者の特徴が述べられている。勝間和代氏や本田直之氏など名だたる著者について特徴が解説されているが、3年近く前に発行された本である故、読みとばした。

 そして、PART5である。先般、「著者になるための本」の紹介をしたがこれだけビジネス書を研究しつくした水野氏が書いたこのパートの充実度は群を抜いている気がする。

「現在、読書法の本は、数多く出ているが、本書がそれらと一線を画しているのは、上記のようなビジネス書の読書法、活用法を押さえた上で、ベストセラー・ビジネス書の「書き方」にも言及している点である。」(p11)

 水野氏自身、冒頭でこう書いている。私含めて、著者を目指す人間にとっては必読書なんだと思う。ビジネス書を書くにあたってのポイントは下記の通り。

1 ゴールセッティング
2 タイトルとまえがき
3 章立てと構成
4 ベストセラーの文章術
5 キャラ立ち
6 セールスプロモーション


 1~4までは、ビジネス書の " 読み方 " としてのパターン/分類について解説がされてきたことを今度は " 書き方 " に立場を変えて説明しなおしている。 " 読み方 " から " 書き方 " まで一連の流れの中で違和感なく、語っているところがウマい!

 最終のPART6も多読している著者ならではのチョイスとは思うが、鮮度も落ちているので割愛する。

 たぶん、この本は何度も読み返すことになると思う。ブロガーの 鳴海寿俊 として・・・ そして著者を目指す 鳴海寿俊 としても。

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posted by 鳴海寿俊 at 00:00| Comment(0) | 【書籍】 出版業界・読書全般 | 更新情報をチェックする
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