2014年12月27日

買おうとした本が電子化されていないことに気づいた時の残念感をフローにしてみた【第1弾】

 最近もっぱら図書館を多用している私。以前は少しでも書店や出版社の売上に貢献できればと 「迷った本は必ず買う」 というスタンスでいたのだが・・・ 裏切られて駄本ばかりが書棚を埋め尽くすストレスに耐えきれず、気に入った "買う価値のある本" だけを買う作戦に変えた。図書館で借りた本のうち、もっとじっくり読みたい、手元に残しておきたいと思ってわざわざ購入するのは、10冊のうちわずか2~3冊。この割合を多いと見るか少ないと見るか・・・ 私の書籍代に充てられる小遣い事情を棚上げし、出版業界の状況をふまえて考えてみたい。

 まず思いつくのが2つの意見。

 「10冊のうち7~8冊分の書店の売上が図書館のせいで奪われている」
 「10冊のうち2~3冊分が図書館のおかげで書店の売上につながっている」


 前者は悲観的に、後者は楽観的に図書館との関係をとらえた意見である。

 前者は 購入する割合はともかく、図書館で貸出を行っていなければ読者は書店で購入する、という想定に立った意見。まるで書店の売上低迷の原因を【他責】にしているようで個人的には好きではない。

 昨今の出版不況の原因は外的な要因はあるにせよ、本質的には商品価値の低下に起因すると思う。いや 「商品価値の低下」 とするには語弊があるかも知れない(少なくとも私が読み続けているビジネス書に関しては実感としてはあるのだが)。言い換えるならば 「読者が求める商品価値を満たしていない」 ということだと思う。昨今のネットやSNSの普及により、時間の費やし方は以前とは大きく違う。【時間の奪い合い】 とはよく言われるが、そのオープンな社会環境において、「本を(書店で購入してまでして)読む」 という行為自体の価値が他より劣っているのではないか・・・ そういう観点で見れば 「図書館のせい」 などという発想は井の中の蛙のような短絡的な意見であることが分かるだろう。

 後者は どうか。何もアクションをしないとしたら楽観的過ぎるのだが、むしろあるべき姿のような気がする。顧客である読者のことを第一に考えるとしたら、せっかく足を運んでくれた顧客に対して、図書館で試し読みすることを選択肢に入れて提案してもいいし、ドイツの書店のように電子書籍をもっと積極的に販売したっていいはずだ。

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 「書店で購入してまでして読む」 ほどの価値がないと思えば、「借りて読む」 という行為が勝る。今の私がそうである。でも実際は、買う価値があると思えば、図書館に返却した後で書店で購入するのだ。本作りの問題ではあるが、やはり望ましいのは、借りた10冊のうち10冊とも 「買いたい」 と読者に思わせる状況。こうなれば、お金にゆとりがある人は10冊とも買うだろうし、出費の面で制約があったとしても多くの人が半分の5冊は買ってくれるかも知れない。実際2~3冊にとどまってもいい。なぜなら 「買う価値のある本が2~3冊しかない」 という状況と意味合いが全く違うからだ。

 商品価値の高い本が増えれば(良書に当たる打率が高まれば)、図書館ではなく始めから書店で買う人たちが戻ってくるはずである(ネットで買わずにリアル書店で買ってもらうようにするにはまた書店員たちの別の努力が必要となるかも知れないが)。

 悩ましいのは いざ 「買おう」 と思った本が電子化されていない場合である。私の場合、電子化されている本はKindle版を購入することが多い(理由については下記記事参照)ので、電子化されていない本を気に入ってしまうと非常に迷う。

 ⇒鳴海の関連記事 電子書籍の魅力とビジネス書との親和性
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 「電子化されていれば買うのに・・・」

 紙の本を買うには次の3つのコストが生じる。

  1. 購入するための【お金】
  2. 整理・処分するための【時間】
  3. 処分することに対する心理的な【痛み(抵抗感)】

 労力をかけて世に生み出してくれた著者や出版社の方々には是非お金を落としてあげたいのだが、紙の本を書棚にずっと置いておくほどの本ではない。そういう本に出会うと、どうしても2つ目、3つ目のコストと相殺されて「買う価値」がマイナスに転じてしまう・・・ それが私の場合、10冊のうち " 2冊 " と " 3冊 " の間、つまり10冊のうちの1冊くらいは 「電子化されていないから買わない」 という本が出てきているのだ (ただ金銭面でまかなえる額で中古本を買うという場合もたまにある)。

 私は、紙の本と電子の本との間で、エアーポケットのような貴重な販売機会を失っている部分があるような気がしてならない。そこで読者の購入フローを整理してみた。

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 まず借りて読み、買うに値する内容であれば(①)、紙の本として手元に残しておきたいか本かどうかを判断する(②)。私の場合の基本パターンは " NO " であるから、次に電子化されているかどうかを確認することになる(③)。ここからが残念なポイントである。

 「(電子化されていれば)買おう」

と決めているのに、されていない本があるから、前述の紙の本を買った時に生じるコストを総合的に考える羽目になる(④)。結果、見合えば紙の本でも買うが、残念ながら見合わなければ 「ごめんなさい」 と心の中で詫び、図書館の返却ポストに入れて終わり、「購入断念」 となってしまうのだ。

 ④の点線で囲んだ部分は間違いなく販売機会を失っている!

 もし電子化されていれば、紙の本を持っている読者が 「外出先でも読みたいから電子版も買いたい」 と思った時に③にジャンプし、電子版の購入につなげることもできる。逆に電子版を購入した読者が 「紙の本でも欲しい」 と思った時には、②から紙の本の購入につなげることもできる。

 出版業界では紙か電子かの議論がされることがあるがこれは本質的ではなく、また本に触れる貴重な機会を生み出している図書館を敵視する必要もなく(むしろ協業すべきだし)、大切なことは 「商品価値の高い」 本を世に送り出すことではないかと思う。

 最近では持っている本を探そうとすると 「あれ? あの本は電子だっけ? 紙だっけ?」 と両者を横断的に捜索できない新たな問題が浮上して、少々困惑している。個人的には流通している全ての本は早々に全て電子化されて、自宅の書棚に並んでいる紙の本は電子で読んで紙でも残しておきたかった本だけ・・・ こんな分かりやすい状況になってくれるとありがたいのにと思う。他の電子書籍を読んでいる方たちはどう感じているのだろうか。

⇒ 第2弾は こちら 

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posted by 鳴海寿俊 at 18:28| Comment(0) | ネット・電子書籍 | 更新情報をチェックする
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