2012年06月12日

クスリ【01】『キャッチボール』  相手と気持ち良く仕事をするためのコツ

「○○さんと仕事をすると気持ちいい!」

 あなたもこんな風に言われてみたいと思ったことはないだろうか?

 たいていの仕事は、いろいろなプレイヤーが関わり合いながら進む。仕事をお願いする時は、相手が受けられる状況かどうかの確認を行うのは勿論のこと、お願いした後は、こちらの意図が正しく伝わっているかどうかの確認を行うことは、基本中のキホン・・・ だが、私はここで堅苦しい説教をしたいのではない。

 他のプレイヤーと気持ち良く仕事をすることが、気持ちの「ゆとり」を生み、結果的に疲れて病んでしまうのを未然に食い止めることができるということを伝えたいのだ(なぜなら、最近は病んでしまう人も多いし、なにせ私も経験者だから)。

「ボールは今どこにあるのか?」

 この問いかけは、仕事の進捗を確認したり、何か問題が発生してその原因を確認したりする時によく使うフレーズだ。説明するまでもなく、仕事をボールに例えているのだが、細かな説明をしなくても済む便利な表現なので、私はよく使っている。

 他のプレイヤーとの仕事のやりとりは、まさにキャッチボールのようなものだ。相手からボールを受け取り、また相手にボールを返す。もちろん別の相手にパスすることもあるが、相手に声をかけてボールを渡すという点では共通。

 仕事のやりとりをキャッチボールに当てはめてみると、次のような一連の流れができて始めて、スムーズに仕事が進むと言えよう。

 @ 「行くよ」と声かけする(相手に仕事の内容を伝える)
 A 相手にボールを投げる(相手に仕事を依頼する)
 B 相手がボールをキャッチしたか確認する(相手が依頼を受けたことを確認する)
 C 相手の合図を待つ(与えられた仕事をする)

catchball_01.gif

 この一連の流れができていない場合、相手にこちらの意図が伝わっていなくて期限に間に合わなかったり、お願いした期限になっても何の連絡もなく、不安になったりする。これはストレスの原因だ。ではキャッチボール(仕事)がなぜうまくいかないのか、次の事例を通して一緒に考えてみよう。

【事例@】
 部下のAさんは上司からある仕事の指示を受けた。Aさんは○○さんの協力を得て、その仕事を終わらせるつもりだったが、期限日になっても○○さんからは何の音沙汰もない。このような状況で心配になったAさんが上司に相談を持ちかけているケースである。

部下A
「○○さんにお願いしていた仕事の期限が今日なんですが返事がまだないんです・・・ どうしたらいいでしょうか?」

上司
「途中で進捗の確認をしたのかい?」

部下A
「いいえ」

上司
「じゃ依頼内容は相手に伝わっているか確認したのかい?」

部下A
「メールで依頼したので伝わっていると思うのですが・・・」

上司
「・・・」

 あなたは、この上司が「・・・」と言葉を失ってしまう理由が分かるだろうか? 初歩的なことだが、この例ではAさんが「相手がボールをキャッチした事を確認する(相手が依頼を受けたことを確認する)」ことを怠っているのだ。

 つまり相手がメールを読んでいない可能性があり、お願いされたことすら気付いていない可能性がある。依頼を受けたことすら相手が認識していないとすると、その仕事に着手しているはずはない。おそらく期限には間に合わないだろう。

 仕事はキャッチボールなのだから、相手がキャッチする(キャッチしたことを確認する)までは自分のボールである。そして相手が投げ返して来たボールを受け取らなければ、キャッチボールは成立しない。最低限、相手がボール(この場合はメール)を受け取ったかどうかの確認は行うべきである。逆に自分が相手のボールを待っている立場の時には、相手を安心させるよう早めにボールを投げ返すか、受け取ったことを伝える心遣いは大切である。

catchball_02.gif


【例A】
 次の事例は上司の方から進捗確認を行っているケースだ。

上司
「お願いしていたあの仕事終わってるかい?」

部下B
「あっ、そう言えば○○さんにお願いしていたのですが・・・ 期限は昨日まででしたね。まだ返事がないので確認してみます」

上司
「・・・」

 この上司が言葉を失ってしまう理由は、単純に依頼した仕事が期限通りに終わっていないという事だけではない。「相手がボールをキャッチした事を確認する(相手が依頼を受けたことを確認する)」ことを怠っている点では、事例@と同じだが、Bさん自身が期限を意識していなかった点が大きく異なるのだ。

 つまりBさんは、上司から指示を受けた仕事について、○○さんの協力を得て行うつもりだったのだが、○○さんにボール(仕事)を投げただけで、任せっきりにしてしまったのである。

「私は仕事を○○さんにお願いしました、だから(遅れても)私は悪くない」

 Bさんがこのような意識を持っていたとしたら非常に問題だ。キャッチボールでも同様だが、相手が受け取るまでは自分のボールである。相手がボールをキャッチするのを確認したら、次は相手が投げ返してくるのを当然待つはずだろう・・・ 

 このケースはキャッチボールに例えるなら、ボールを暴投しても気にしない、相手が投げ返して来ようとも構えもしないという感じだろうか。上司が言葉を失っている理由は、期限云々について言う以前に、キャッチボール(仕事)をしようとする心構えができていないからかも知れない。

 仕事の依頼者(上司)にとっては、引き受けた相手(Bさん)が他のメンバー(○○さん)の協力を得ようと得まいと関係ないのである。仕事をキャッチボールに例えて説明してきたが、加えて言うならば、なるべく相手の取りやすい懐に優しいパスを出すように心がけたい。

 そしてボールを受け取ったら、長い間抱えておかずに、早めにボールを渡して、相手に「ゆとり」を与えてあげるのだ。このような意識でキャッチボール(仕事)を続けていると、あなたもいつか

「○○さんと仕事をすると気持ちいい!」

と言われるようになるだろう。

 そして誰かとこの「気持ちのいい関係」が構築できたとしたら、それは自分の味方が1人増えたことを意味する。この関係を維持する事はとても大変だが、あなたが常に「キャッチボール」を意識して仕事をしていれば、周囲のメンバーは安心して仕事に取り組めるし、万一のトラブルの際にも、気持ち良くあなたに協力してくれるだろう。

 私が今の会社に転職して早々に病んでしまったのは、仕事で関わるメンバーで心を許せる支援者が少なかったせいもあるかも知れない・・・

 もしあなたが十分な助けを得られず、孤軍奮闘しなければならないような事態に陥っているとしたら、じきに心身ともに疲れ果てて病んでしまうかも知れない。このような状況を防ぐためにも、日々「キャッチボール」を意識しながらコミュニケーションを取り、自分の味方となる支援者を見つけよう。

 そして「気持ちのいい関係」を構築しよう。これはスキル云々以前の心がけの問題だから、焦らず、無理せず、少しずつ取り組んでみよう。そしてこの心がけが、心の「ゆとり」を生み出す源泉である点を頭に入れておきたい。

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posted by 鳴海寿俊 at 00:00| Comment(0) | 【連載】 仕事のクスリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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