2012年08月25日

クスリ【02】『インプット』 厳しいスケジュールで仕事を引き受けずに済むコツ


「インプット」と「アウトプット」とは?

 私達は日々の仕事において「アウトプット」という言葉をよく使う。言葉の意味としては「出力」という意味だが、実際には「アウトプットを出せ」と言われれば、「結果を出せ」とか「ドキュメントを作成しろ」と言った意味で使われることが多い。

 また反対語の「インプット」は「入力」の意味だが、こちらは「アウトプット」ほど使われていないように思う。しかしこの2つの関係を次のように定義してみると、仕事のスケジューリングにおいて有効な視点となる。

「インプット」と「アウトプット」の関係
「インプット」とは「アウトプット」に必要なもの。知識・スキル・情報等であり、逆に「アウトプット」とは「インプット」 がないと成立しない仕事もしくはその成果物のことである。

 例えば「予算作成」という仕事の場合、「インプット」とアウトプット」は何に当たるだろうか?

 「予算」が「アウトプット」であることは言うまでもないが、「インプット」はこれを作成する上で必要なもの、例えば「過去実績データ」が「インプット」ということになるだろう。

 そして、仕事のスケジューリングにおいて考慮すべき点は、この「予算作成」という仕事が、自分の手元にあるデータだけで作成できる、自己完結可能な仕事かどうかという点である。言い換えれば「インプット」が全て揃っているかどうかという点だ。「予算作成」という仕事において、「過去実績データ」(インプット)がないと作成できない場合は、この「インプット」がいつ入手可能なのかを強く意識しておかなければならない。


「インプット」 が何かを把握する

 私も社会人になりたての頃は、仕事の期限は意識しているものの、期限が近づいてきて、いざその仕事に取り掛かろうとしたら、必要な情報がないことに気がつく・・・ なんてことは日常茶飯事だった。この状況は言い換えれば、「アウトプット」の期限は意識しているが、「インプット」される日を意識していない、と言える。

 「インプット」がないと仕事に着手できないのだから、「インプット」されるのがいつか? の確認は当然必要である。ただしその前に、まずは「インプット」は何か? を把握することが先決となる。「過去実績データ」以外に「インプット」がないか、全てリストアップしておくことが重要である。なぜなら「過去実績データ」だけを入手していても、「予算入力フォーマット」を入手していなければ提出できず、「予算作成」の仕事が完結しない・・・ ということが有り得るからだ。


「インプット」のタイミングを確認する


 「インプット」が何かを把握した後は、各々の「インプット」のタイミングを確認しよう。また同時に「インプット」されるタイミングが適切かどうかの確認も合わせて行うのである。当然ながら、経験が乏しい場合にはこの判断が素早く、適切に行えない。仕事を引き受けた後で改めて整理をしてみたら、相当厳しいスケジュールで依頼を受けてしまったことに気付いた・・・ なんてことはよくあることだ。

 ただでさえ仕事にトラブルは付き物だから、(最低限として)無理なスケジュールで受けないこと、迷ったら即答せずに持ち帰って熟慮すること、これが鉄則である。「アウトプット」期限に対して、「インプット」されるタイミングが遅い場合には、無理せずその仕事を断る勇気を持ちたい。

 クオリティを落として間に合わせるという選択をすると、ミスを誘発し、結果的に余計な時間を割かなければならないことも多い。想定外の仕事が増えるので更に忙しくなる。そうなれば他の仕事のクオリティまで下がりかねず、トラブルが頻発するという悪循環に陥るのだ。「安請け合いは悪循環のもと」と考えて断るという選択肢は必ず持っておきたい。


「インプット」してくれる相手の進捗状況を確認する

 「インプット」を受けるタイミングも問題なく、無理のないスケジュールで調整でき、「アウトプット」に必要な日数を確保できたとしよう。それでもまだ安心はできない。予定通り「インプット」されればいいが、そううまくはいかないからだ。気をつけなければならないのは、「アウトプット」の期限がキープなのに、「インプット」が遅れて、自分の持ち時間が食い潰されてしまうことだ。

 依頼者にとっては、「インプット」が遅れようと遅れまいと関係なく、「アウトプット」が期限通りに仕上がるかどうかだけが問題なので言い訳は通用しないと考えた方がいい。「アウトプット」の期限を守る上で大切なことは「インプット」を予定通り受けることである。

 では「インプット」を予定通り受けるにはどうしたら良いだろうか?

 これはもう相手に対してチェックを入れるしかない。 【スケジューリングの3機能】(クスリ03) でも詳しく述べるが、「インプット」を受ける準備として相手が予定通り着手したか(着手管理)、予定通り進行しているか(進行管理)といった確認を行う必要がある。

 これらの確認行為の目的は、単なる催促だけではない。自分にとってその「インプット」が大切であるということを相手に意識付けして、その期限がギリギリであるという切迫感を伝える、という別の目的があるのだ。

 これにより、「少しくらい遅れても大丈夫かな?」という相手の甘えが起こるのを牽制できる。どうしても「インプット」が遅れそうな場合には、仕事の依頼者にその旨を伝えて、ダメもとで「アウトプット」の期限を延ばしてもらう交渉もしてみよう。早ければ早いほど応じてもらえる可能性はあるし、日々自分がどれだけ相手に貢献しているかにもよるだろう。

 しかし、受けた以上はどんな事情であれ、期限通り遂行するという基本姿勢が大切である。前工程が遅れ気味の場合は、同時期の他の仕事を先行しておき、あらかじめ空き時間を確保しておく等のやり繰りはすべきだろう。どんな事情があろうと約束は守る! それがプロ根性であり、サラリーマンにとっても必要な心構えである。

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「アウトプット」の前提条件を提示する

 先ほど「アウトプット」期限に対して、「インプット」されるタイミングが遅い場合には、無理せず断る勇気も必要、と書いた。確かに「安請け合いして悪循環に陥る」よりは良いが、これは言い換えれば「できません」と言っているようなものである。そこで条件付きで「やります」と答えるスマートな対応トークを紹介する。

 例えば「お願いしたい仕事があるんだけど・・・」と相談を受けた場合には、次のように切り返してみよう。

【トーク例①】
「△△日に依頼をいただければ、今のところ1~2日あれば提出できそうです。もし△△日に依頼をいただけなかった場合、大きな案件が入りそうなので、3~4日お時間いただけますか」
 
 この例では、「インプット」が遅れた場合の「アウトプット」期限の延長を申し出ているが、相手が上司などの場合には受け入れてもらえないことが多いかも知れない。期限が厳しい場合は、次のように期限キープを前提として「アウトプット」の内容を変更してしまうという方法もある。

【トーク例②】
「○○日が期限の場合、予算の数値までは試算しますので、プレゼンテーション資料の作成については誰か別のメンバーの協力をお願いできないでしょうか」

 依頼者の立場では、期限延長の申し入れを受けると抵抗感を抱くが、期限キープの条件を相手から逆提示されると、歩み寄りの姿勢を示すことが多い。これは依頼者自身も別の人から指示を受けている立場であることが多く、納得性のある説明(言い訳)さえあれば、受け入れて助けてあげたいと思うからである。それでも両者の妥協点が見出せない場合には、次のようなアプローチも可能かも知れない。 

【トーク例③】
「当初のスケジュールが遅れているにも関わらず、当初の条件でかつ○○日期限キープということですと、外注費用が別途××円必要となりますが宜しいでしょうか」

 少々強硬と思えるこのトークも、担当者レベルでは苦慮されるかも知れませんが、いざ相手のしかるべき決裁権限のある人の判断を仰いだら、「そこまでして○○日期限をキープする必要はない」なんて判断があっさり下される可能性もあるのだ。では、ここまでのポイントを整理してみよう。 

仕事の依頼を受ける時の留意ポイント

① 「インプット」が何かを把握する
 → 「インプット」されるタイミングを確認する
 → そのタイミングで「アウトプット」が間に合うか確認する

② 「インプット」してくれる相手の進捗状況を確認する

③ 「アウトプット」の前提条件を提示する

 「インプット」を意識して仕事をすることが、厳しいスケジュールで仕事を受けずに済む「クスリ」である点がお分かりいただけだろうか。

 いざ仕事に着手しようと思ったら、必要な情報が揃っていない、睡眠時間を削らなければ間に合わない、依頼者に頭を下げて期限を延ばしてもらう・・・ こんな日々が続いたら心身ともに疲れてしまう。あなたがもしこのような状況に陥っているとしたら、少しずつ「インプット」を意識した仕事のやり方に変えていこう。そうすれば無理のないスケジューリングが可能となり、時間と心の「ゆとり」確保がきっとできるようになるだろう。

【連載コラム】 病む前に効く!仕事を減らしてラクになれる『仕事のクスリ』
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posted by 鳴海寿俊 at 00:00| Comment(0) | 【連載】 仕事のクスリ | 更新情報をチェックする
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