2012年07月14日

クスリ【03】『スケジューリングの3機能』 仕事の遅延を未然に防ぎ【ゆとり】を手に入れるコツ

 私達は普段仕事をするとき、どこまで緻密な計画を立てるかは別として、常にスケジュールを意識して仕事をしている。自己完結できる仕事は、マイペースで進めていけるが、たいていの場合は、複数のメンバーと連携し合わなければならず、当初のスケジュール通りに終えることは、そうたやすいことではない。

 経験を積めば、困難な調整もスムーズに行えるようになり、予定通りに進めやすくはなるが、難易度の高い仕事であればあるほど、計画を立案することよりも、細かな進捗管理や当初の計画の見直しに伴う調整の方が重要になってくる。

 私達は「スケジューリング」という言葉を何気なく使っているが、働いている機能を整理すると次の3種類に大別することができる。

 【1】計画機能
 【2】管理機能
 【3】調整機能


 プロジェクト管理等においては一般的な考え方であるが、実は私たち自身が抱えている仕事の管理においても応用できるのである。プロジェクトの場合には、プロジェクトリーダーや事務局のメンバーがいて、彼らの役割として計画立案や進捗管理を行い、トラブルが発生した場合には、責任者に判断を仰いで調整してくれる、という手厚いフォロー体制が敷かれているかもしれない。

 しかし、私たち自身の仕事のスケジューリングにおいては、秘書でもいない限り、そうはいかない。それでは、3つの機能についてご紹介していこう。

chart_3kinou.jpg


【1】計画機能

 仕事の実行においては、まず実行可能な計画を立案し、その進捗をチェックし、不具合があれば調整する。そして再度実行可能な計画にメンテナンスする・・・ という流れが一般的である。最初の「実行可能な計画を立案する」ことと、「再度実行可能な計画にメンテナンスする」こと、それが【計画機能】に該当する。

 よく言われることだが、計画は最初に作りっぱなしではあまり意味がなく、図のように【計画】・【管理】・【調整】の3つの機能が互いに補完しあうことにより、計画を立てる事の価値が高まる。計画を立てること自体が仕事ではない! これは言うまでもないが、状況に応じて当初の計画をメンテナンスして、仕事をいかに完遂するかという点が重要である。


【2】管理機能

 【管理機能】は単純に計画通りに進捗しているかをチェックするだけではなく、次の3つの役割をふまえた確認を行うことが重要である。

 @完了管理 ・・・ 予定通り完了したか?
 A進行管理 ・・・ 予定通り進行しているか?
 B着手管理 ・・・ 予定通り着手されたか?


(時間軸ではB<@と逆だが、@<Bで難易度が低い)

 「完了管理」ができていなければ・・・ 期限日を迎えてから「申し訳ございません。まだ終わっていません」という事になり、「社会人失格」の烙印を押されてしまうかも知れない。

 「進行管理」ができていれば・・・ 予定通り「着手」した後に発生したトラブルに対して、遅延リスクを察知できるので、期限の直前に発覚するよりも、対処がしやすくなる。

 「着手管理」まで行うことができれば・・・ 早い段階で「予定通り着手できそうもないので期限を延期してもらえないでしょうか」という申し出が可能となり、期限を延長してもらえる可能性も出てくるのだ。進行過程でトラブルが発覚するよりも、後工程の計画変更も容易となり、全体の失敗リスクを減らすことにつながるのは言うまでもない。万一遅延が生じていた場合には、次の【調整機能】を発動させよう。


【3】調整機能

 【管理機能】がなくても、自然に計画通り完了するのが理想だが、残念ながら遅延リスクがゼロの仕事はない。できる限りハードルの低い調整で解決させるためには、「着手」段階か、早期の「進行」段階で遅延リスクを察知したい。万一、遅延が生じた場合の【調整機能】の発動においては、次のようなレベルでの発動例が考えられる。

レベル@ 例 ・・・ 自分自身の「ゆとり」内で吸収
レベルA 例 ・・・ (社内)部署内で調整
レベルB 例 ・・・ (社内)部署横断的に調整
レベルC 例 ・・・ 社外を含めて調整

 これらの例は、部下がいない決裁権限のないプレイヤーの場合の想定だが、例えば自分が部門長としての権限を持っていれば、Aのレベルがこの例としてのレベル@に該当すると考えるのだ。低いレベルで調整できることが一番楽なのは言うまでもない。いかに低いレベルで発動できるか? その鍵は「ゆとり」の確保にある。


「ゆとり」確保の重要性

 レベルB・Cの場合、多くのメンバーを巻き込んで調整が必要となり、かなり大掛かりな事態となる。このような事態を避けるためには、計画を立てる際に、予定通りいかなかった場合に対応するための「ゆとり」をなるべく多く持っておくのだ。「ゆとり」は、公にするとどんどん食い潰されてしまうので、こっそり確保するのがコツだ。

 例えば、実際に必要な開発期間は3週間だが、他部署や他社に見せるスケジュールには4週間と記載しておく・・・ という行為が初歩の「ゆとり」確保術だ。スケジュール表上は4週間になっているので、実際の開発が3週間を超えてしまった場合でも、4週間を超えない限り【調整機能】の発動は、レベル@に収まり、レベルA以上の発動は不要となる。この1週間がまさに 「ゆとり」 である。

 「ゆとり」は時間的な意味はもちろんのこと、気持ちの「ゆとり」を生み、ストレスを遠ざけることにつながるのだ。この「ゆとり」こそ、トラブル発生時に要領良く立ち回れない不器用な人(例えば私)にとっては救世主であり、またこの「ゆとり」に救われた瞬間、「遅延リスクを自分の力で食い止めた!」(勘違いではあるのだが)という遣り甲斐につながるのだ。

 逆に確保した「ゆとり」を使わずに済んだ場合は、期限より早く仕事を終えることができるので、依頼者からは感謝される。会社に属している以上、自己完結できる仕事はほとんどないから、他のメンバーと関わりながら進めざるを得ない。私達はお互いに自身の「ゆとり」を確保しようと必死なので、油断するとすぐに自分の「ゆとり」は相手に奪われてしまう。

 大切なことは「スケジューリングの3機能」を適切なタイミングで発動させることだ。うまくいかないと、日々タフな調整を求められたり、遅延に対する理不尽な責任追及を受けたりするかも知れない。そうなると、よほど交渉力があるか、メンタル的に強くない限り、きっとプレッシャーを受け続けて、心身ともに疲れ果ててしまう。

 あなたもこの「スケジューリングの3機能」を使いこなし、仕事の遅延を未然に食い止めて、不要なストレスとおさらばしよう。気持ちの「ゆとり」を得るためにはまず時間的な「ゆとり」の確保が先決なのである。

【連載コラム】 病む前に効く!仕事を減らしてラクになれる『仕事のクスリ』
 ┣ クスリ【01】『キャッチボール』  相手と気持ち良く仕事をするためのコツ
 ┣ クスリ【02】『インプット』 厳しいスケジュールで仕事を引き受けずに済むコツ
 ┣ クスリ【03】『スケジューリングの3機能』 仕事の遅延を未然に防ぎ【ゆとり】を手に入れる
 ┣ クスリ【04】『プライオリティー』 自己管理能力を高める仕事の優先順位決めのコツ
 ┣ クスリ【05】『業務改善』 【任せる】以前に【仕事自体をなくす】ためのアプローチ
 ┣ クスリ【06】『企画発想』 【仕事を変化させる】ことによりラクにするアプローチ
 ┣ クスリ【07】『自己否定』 自分の仕事が発生しなくなるテクニック
 ┣ クスリ【08】『未然防止・根本解決』 仕事の発生源を断ち仕事自体を発生させないコツ
 ┣ クスリ【09】『事前相談』 相手を味方につけて思い通りに仕事を進めるコツ
 ┣ クスリ【10】『あえて従う』 意見の食い違う上司に優越感を感じる究極の【上から目線】
 ┣ クスリ【11】『やり過ごす』 上司から面倒な仕事を押しつけられないようにするコツ
 ┣ クスリ【12】『美しい体裁』 相手の信頼を勝ち取り細かいチェックを受けずに済むコツ

にほんブログ村 本ブログ ビジネス書へ ← めざせ1位!あなたの応援ポチッが励みになります



posted by 鳴海寿俊 at 00:00| Comment(0) | 【連載】 仕事のクスリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: