2012年05月15日

クスリ【04】『プライオリティー』 自己管理能力を高める仕事の優先順位決めのコツ

 次から次へと仕事が舞い込んできて、どの仕事から手につけていいか分からなくなる・・・ あなたは、このような経験はないだろうか? 好きな食べ物を先に食べるか、最後に食べるか・・・ 仕事の優先順位決めはそう簡単にはいかない。期限が迫っている仕事から着手するという人もいれば、簡単な仕事から着手して仕事の量を早く減らしたいという人もいるだろう。それも基準の1つに違いないが、もし仕事の優先順位決めに迷ったら、次の4つの判断基準を参考にしてみて欲しい。

(A)苦手な仕事から取りかかる
(B)自己完結できない仕事から取りかかる
(C)アイデアが思いつかないと終わらない仕事から取りかかる
(D)自分にとって大切な人から依頼された仕事から取りかかる

 それでは1つずつ、各々の特長について説明していこう。


(A)苦手な仕事から取りかかる

 ただでさえ、予期せぬトラブルにより、仕事の進行を妨げられることがあるのだから、苦手な仕事を引き受けた時には、何よりも優先的に着手することが大切だ。なぜなら、外的要因による遅延リスクがないとしても、自身に勘所がないために、誤った思い込みや後戻りが発生しやすいからだ。

 また期限間近の着手よりは、早期に着手する方が、遅延リスクが生じた際にも、リカバリーしやすいし、気持ちの面でも常に「ゆとり」を持ちながら進めることができる。「時間がかかる仕事から着手する」という観点(私はこの観点は意味がないものと考えている)と違う点は、時間がかかる仕事であっても、得意な仕事であれば、時間をかけさえすれば、スムーズにやり遂げられる可能性は高いのだが、苦手な仕事の場合、「すぐに終わる」と思っていても、実は大変な労力が必要・・・ ということに後で気付く場合がある点だ。これが苦手な仕事における「勘所のなさ」である。

 忙しい時ほど、仕事をリストアップするとその多さにウンザリして、安易に「まず仕事の数を減らそう」と考えがちだが、それは止めた方がいい。仕事の数は減らすことができたとしても、残った仕事の中に苦手な仕事が含まれていたら、命取りになる場合もあるので注意が必要だ。仕事の場合には「嫌いなものから食べる」が正解なのだ。


(B)自己完結できない仕事から取りかかる

 つまり「インプット」が不要な仕事から取りかかるということだ。「インプット」が必要な仕事(アウトプット)は、「インプット」がない限り、その仕事に着手できない。自己完結できる仕事は、自分のペースで仕事を進められるので気持ちの面でも楽である。残業しようが、早朝出勤しようが、場合によっては、徹夜をしようが・・・ 締切間近であろうと、自分の勤務時間や健康管理さえ問題なければ、仕事を終わらせることができる。

 しかし、自己完結できない仕事はそうはいかない。他のメンバーの協力を得なければならない仕事や、上司の承諾を得ないと進められない仕事がこれに当たるが、相手の都合を考慮しなければならないので、なかなか思うようには進まない。この調整に失敗すると、勤務時間外に相手の携帯電話にかけて相談しなければならなくなるなど、相手の都合を無視して進めなければならなくなる。

 緊急時以外にこれを毎回強いては、相手にとってはいい迷惑だ! 他のメンバーの協力確保や上司の承諾は、ある意味「インプット」であることを認識しなければならない・・・ これがないと仕事は進まないだから。「インプット」待ちの状況はリスクがあるので、常に「自分が着手しさえすれば仕事を終わらすことができる」という状況(つまり「インプット」を受けている状況)まで進めておくことが大切だ。


(C)アイデアが思いつかないと終わらない仕事から取りかかる

 考える仕事は、まとまった時間があって集中して取り組めたとしても、良いアイデアが浮かばない限り、仕事を終えることができない。それは(B)の「自己完結できる仕事」であっても、アイデアが浮かぶまでは終わる目途が立たないという点で、非常に厄介な仕事だ。

 逆にそれには、アイデアさえ浮かんでしまえば、トントン拍子に進む・・・ という、クリエイティブな仕事ならではの刺激や醍醐味もある。この種の仕事は、必ずしもデスクに座って考え続けなければいけないというわけではなく、入浴中や移動中のふとした思いがけないタイミングで解決してしまう性格のもの。ただし必要なのは日数である。

 処理型の仕事と大きく異なる点は、仕事の処理に関わる物理的な時間や日数が必要なのではなく、引き受けてから期限までの時間的な日数が必要な点である。期限が迫ってから考え始めたのでは、アイデアを生み出すために必要な時間が足りない。この種の仕事は引き受けたら即着手して、細切れ時間をうまく使って、アイデアを生み育てていくことが大切なのだ!

(鳴海の関連本紹介)
 『アイデアのつくり方』と『考具』を読み返してキカクの仕事を思い出してみる! 
 アイデアのつくり方考具 ―考えるための道具、持っていますか?アイデアの99% ―― 「1%のひらめき」を形にする3つの力ひらめきスイッチ大全 (Sanctuary books)
アイデアのつくり方を「仕組み化」する革新的なアイデアがザクザク生まれる 発想フレームワーク55発想の技術 アイデアを生むにはルールがあるブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる


(D)自分にとって大切な人から依頼された仕事から取りかかる
 この思考は仕事で関わるパートナーとの「気持ちのいい関係」の構築という面において大変重要な観点だが、少々上級者向けの基準である。慌てずに、まずは前述の(A)、(B)、(C)の判断基準を最低限使いこなした上で取り入れることをお勧めしたい。この判断基準は簡単に言えば、どの仕事の依頼者が自分にとって大切か? という観点で仕事の優先順位を決める考え方である。

 次に2つの例を挙げる。

(ア)いつも自分に非協力的な人から引き受けた
 会社にとって重要な急ぎの仕事

(イ)いつも協力してくれる人から引き受けた
 会社にとってはそれほど重要ではない、急がない仕事

 この2つの仕事においては、(ア)よりも(イ)を優先するというのが(D)の考え方だ。また(ア)の相手についても早めに対応してあげることにより、今後「気持ちのいい関係」を構築できる可能性があるので、なるべく早めに対応してあげるに越したことはない。

 「キャッチボール」(クスリ01) のように、ボールを受け取ったら、長い間抱えておかずに、早めにボールを相手に渡して、「ゆとり」を与えてあげる・・・このような意識は、どんな相手に対しても必要だ。

 結局、A〜Dのうちどれを優先して着手すればいいの?

 こんな疑問を持ったあなた。状況にもよるが、たいていの場合は A→B→C→D の順で難易度は高くなるので、まずはAの「苦手な仕事」から取りかかって欲しい。苦手な仕事ほど、上司や他のメンバーの協力が必要となる場合が多く発生するだろうし、まずAの「苦手な仕事」に着手しない限り、Bの「自己完結」できるかどうかも分からないし、Cの「アイデア」が必要な仕事なのかどうかも分からないはずだからだ。

 繰り返しになるが・・・ Dは「どの仕事から手につけていいか分からなくなる」という状況に陥らなくなった時点で、判断基準の1つに組み込もう。

 一般的に、私たちは複数の仕事を同時並行で進めなければならない状況に置かれている。常にギリギリの仕事をしていたら、突然襲い掛かるトラブルに対処できずパニックに陥ったり、新しい仕事に対して前向きに取り組む気持ちになれず、せっかくのチャンスをみすみす逃してしまうかも知れない。

 いかがだろうか。これが、激務の末に病んでしまった私が身を削って編み出した仕事術の1つである。「プライオリティー」というクスリは、私たちに冷静さを与えて、何から手を付けていいか分からないという迷いから解放してくれるはず・・・これにより、あなたが心と時間の「ゆとり」を獲得することを願ってやまない。

【連載コラム】 病む前に効く!仕事を減らしてラクになれる『仕事のクスリ』
 ┣ クスリ【01】『キャッチボール』  相手と気持ち良く仕事をするためのコツ
 ┣ クスリ【02】『インプット』 厳しいスケジュールで仕事を引き受けずに済むコツ
 ┣ クスリ【03】『スケジューリングの3機能』 仕事の遅延を未然に防ぎ【ゆとり】を手に入れる
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 ┣ クスリ【05】『業務改善』 【任せる】以前に【仕事自体をなくす】ためのアプローチ
 ┣ クスリ【06】『企画発想』 【仕事を変化させる】ことによりラクにするアプローチ
 ┣ クスリ【07】『自己否定』 自分の仕事が発生しなくなるテクニック
 ┣ クスリ【08】『未然防止・根本解決』 仕事の発生源を断ち仕事自体を発生させないコツ
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posted by 鳴海寿俊 at 00:00| Comment(0) | 【連載】 仕事のクスリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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