2012年08月25日

クスリ【08】『未然防止・根本解決』 仕事の発生源を断ち仕事自体を発生させないコツ

 これから紹介する考え方は、【自己否定】と同様に【業務改善】の「Eliminate(なくす、やめる、捨てる、除く)」や「廃止」の観点から導き出したものである。


 【自己否定】では、「私はその仕事に必要な人間だろうか?」という問いかけからスタートし、「いや私がいなくても問題ないはずだ」と思考を着地させた。これは存在している「仕事」自体(発生してしまうこと)を認めていることに他ならない。つまり「自分」の存在価値の方を否定して、結果的に自分につきまとう仕事をなくす(減らす)というイメージである。

 本来は原点に立ち返って、次のように問いかけて欲しい。

「その仕事は必要な仕事だろうか?」 

そうすれば、別のメンバーに抱えている仕事を引き継ぐことなく「仕事」自体をなくす(減らす)ことができるかも知れない。そして、次のような振り返りも必要だ。

「その仕事が2度と発生しないようにするにはどうすべきか?」

この2つのアプローチが【未然防止・根本解決】である。

 【自己否定】が「自分自身の存在の抹殺」なら、これらは「仕事自体の抹殺」である。意味合いは大して差はないが、【未然防止】を追及したものが【根本解決】であると解釈して欲しい。そして仕事自体を消し去るにはこの2つをワンセットで使って欲しい。

 なぜこの2つが必要なのだろうか? それは

【未然防止】だけでは、再発の可能性がある

からである。つまり、仕事が生まれる兆候を察知して、未然に防ぐというだけでは、都度何らかの処置が必要となる。2度と発生しないようにする対策、つまり【根本解決】が継続的に仕事を発生させない状況を作るために不可欠なのだ。

では2つの例を挙げて、整理してみよう。

(例1) クレーム対応

 ECサイトを運営している会社に勤務するAさんとBさん。Aさんはサービス企画を担当し、Bさんはコールセンターで、日々ユーザーのクレーム対応に明け暮れていました。Aさんは、競合他社が広告宣伝により急激に業績を伸ばしていることに焦りを感じて、新商品の取り扱いの企画を会社で早々と通してしまいました。しかも、Bさんへの詳細内容の説明やすり合わせはほとんどないままです。そして間もなく、十分な準備期間を経ずに、オンラインでの販売が開始されてしまいました。Bさんはますます忙しくなり、途方に暮れてしまうのでした。

 このような状況でBさんはどのような対応が取れるだろうか?

 【自己否定】のアプローチでは、「自分がいなくても困らない」ようにするために、クレームに対応できるメンバーを増やしたり、問合せ内容をパターン化して、トークマニュアルを作成するという対応となるだろう。

 一方、【未然防止】のアプローチでは、主なクレームの内容が例えば「新商品の説明が分かりにくい」ということであれば、画像を用いて分かりやすい表記に変えるという対応が取れる。これにより、クレームの件数自体が減るので「仕事の発生を未然に防ぐ」ことにつなげられるだろう。

 また【根本解決】のアプローチでは、クレームの原因となっている商品の取り扱い自体を止めてしまうことを提案できるかも知れない。あるいはそもそもの原因が「十分な準備期間を持たずに新商品の導入を行ったこと」であれば、新商品導入におけるチェック機能を見直すことが今後の解決策になるだろう。

 更に着眼点を機能や手続きではなく、人に向けることもできる。そももそこのような仕事のやり方をするAさんをサービス企画業務から外すことや、その企画実行を承認したAさんの上長を外すという考え方もある。

 もう1つ例を挙げてみよう。

(例2) 葉を蝕んでいる害虫の駆除

【自己否定】のアプローチでは・・・
 自分ではなく他の人に駆除してもらえないか考えることができる。

【企画発想】の【オズボーンのチェックリスト】 を使えば・・・
 (代用) 駆除は手で葉を取り去るのではなく、ハサミを使えないか?
 (応用) 木の幹を蹴って揺らして害虫を落とせないか?
 (拡大) 畑全体に農薬を散布して駆除できないか?
 (逆転) 害虫の天敵となる動物を生息させられないか?

などの害虫駆除の仕事をラクにするアイデアが浮かぶかも知れない。

また【業務改善】のアプローチをすれば、害虫をあえて駆除せず(自然に任せて)、害虫に強い品種が育つの待つ、害虫駆除の仕事自体を止めてしまう「廃止」という割り切りもできるかも知れない。

 では【未然防止・根本解決】のアプローチではどのような対応となるだろうか?

 【未然防止】のアプローチを取るならば、まだ害虫が発見された葉が蝕まれていなくても、枝ごと取り去ってしまうという方法があるだろう。これは害虫駆除の「仕事」の枠を超えた思考だ。一方【根本解決】のアプローチを取るならば、害虫が発生している幹自体を伐採してしまう、あるいはその畑全体の土を入れ替えるといった大胆なアイデアも出てくる。

chart_mizen.jpg

 注目すべきポイントは、【自己否定】、【企画発想】、【業務改善】のアプローチでは、害虫を駆除すること自体を(発生しても仕方がない)「仕事」であると認めた上で対応している点(たとえやらないという「廃止」のアプローチを取ったとしても、やる必要のない「仕事」と認めていることには変わりはない)。

 これに対して【未然防止・根本解決】は、言ってみれば害虫駆除自体を

「仕事」と認めない(「仕事」として発生すらさせない)
究極のアプローチ


である。この【未然防止】と【根本解決】の2つのキーワードは、言葉そのものがアプローチの仕方を示しているので、特に記憶する必要もなく手軽に取り組めると思う。昨今の不景気と変化の激しい市場環境において、私たちの仕事は日々変化している。昔ながらのやり方が、その当時は正しいやり方だったかも知れないが、今は適切なやり方とは限らない。変化に応じて意識や仕事のやり方を変える思考を常に持ち続けていれば無駄に忙しくなることはないはずである。

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posted by 鳴海寿俊 at 00:00| Comment(0) | 【連載】 仕事のクスリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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