2012年06月17日

クスリ【09】『事前相談』 相手を味方につけて思い通りに仕事を進めるコツ

 ライフネット生命の岩瀬大輔氏は著書『入社1年目の教科書』(鳴海の紹介記事は こちら )で、「仕事は根回し」とし「論点をより深く掘り下げるために欠かせない、かつ全体の意志決定を短縮する作業」 (p66) と述べ、以下の2つをその目的として挙げている。

【基本的なことの合意形成】
【対処可能な反論をつぶす】


入社1年目の教科書入社1年目の教科書
岩瀬 大輔

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 否定はしないが、私にとっては【根回し】というよりは【事前相談】という表現の方が、ニュアンス的にしっくりくる。部下の立場からすると、根回ししないと怒られる。一方、上司の立場からすると、事前相談されると嬉しいし、助けてあげたくなる・・・ なんてイメージ。【事前相談】の方がポジティブな印象を受ける。

 ちなみに、あなたは仕事を進める際、上司に【事前相談】を行っているだろうか?

 新しい仕事に着手する時や会議の場でプレゼンテーションする時など、判断を仰いだり、助言が必要な時に必ず行っている行為ではないだろうか。

 一発本番を迎えるようなリスクはできれば避けたいし、着手後にかなり時間を費やしてから、「それ違うよ!」なんて言われたら、苦労が水の泡となってしまい、大変ショックである。【事前相談】をしておけば、このような

仕事の後戻りリスクを回避することができ
早めに軌道修正ができる


のだ。これは【事前相談】の1つのメリットであるが、他にも次のような重要なメリットがある。それは、

【事前相談】した相手を自分と同じ【当事者にする】

というメリットだ。言い換えれば、【事前相談】した相手を【味方にする】ということである。使う相手は上司だけではない。

 例えば私の場合、仕事の進め方や対応案について、自分の頭の中では「誰に何と言われようとA案でいく」と決めている場合であっても、打合せに同席するメンバーに 「どの案がいいと思う?」とあたかも助言を欲しているかのように、【事前相談】をすることがある。

 【事前相談】を受けた相手にとっては、自分が頼りにされたことを嬉しく思うだろうし、もし打合せの場で反論されようものなら、助け舟を出そうという気持ちが相手に芽生えるかも知れない。自分が支持した案が否定されている状況に遭遇したら、たいていの人は否定された「当事者」と感じて、味方になってくれるものだ。

【事前相談】は副作用のある劇薬?

 【事前相談】は、相手を反論することをできなくしてしまう【特効薬】みたいなものである。もしかすると副作用の強い劇薬かも知れない。注意すべきことは、自分の案が【事前相談】の場で否定されてしまった時の対応だ。

 そのような事態に陥ったら、本来の【事前相談】の目的である「早めに軌道修正ができる」という考え方 に立ち、自分の案は無理強いせずに一旦持ち帰ろう。そして、その原因が何なのか考えよう。説得材料が足りなかったのか? そもそも良案ではなかったか?・・・など。

 予行演習ができたと前向きに捉えることが大切である。相手の助言に従って、当初の案を見直してもいいし、自分の信念が揺るがなければ、相手を納得させる材料を追加して、再度の【事前相談】に臨めば良い。

決して【事前相談】の場で反論されたままで、本番を迎えてはならない。相談した相手は、自分のためを思って助言してくれたはずだから、不信感を持つに違いない。そして今後一切、自分の相談には乗ってくれなくなると思った方がいいだろう(逆の立場になれば想像できるはずだ)。これらを認識した上で事前相談を行えば、物事をスムーズに運ぶことが可能となる。

誰に【事前相談】しておくか?

 発表の場のメンバーをあらかじめ把握して、「この人から反論を受けると厳しいな」と思うメンバーには、あらかじめ「こう考えているんですけどどう思いますか?」と確認しておくと良い。忙しい相手に対しては、雑談の中で少し触れるだけでも効果的だ。

 また【事前相談】の段階で反論されがちのメンバーに対しては、案を固めてしまう前に2段階の【事前相談】をお勧めする。言うなれば「【事前相談】の【事前相談】」である。一緒に案を絞り込んだという気持ちになり、より強い「当事者」意識が生まれるに違いない。

【事前相談】をしなかったら何が起こるか?

 逆に全く【事前相談】なく、本番を迎えたらどんな事が起こるだろうか? 自分の味方だと思っていた上司やパートナーから、会議という「本番」の場 で反論されたり、批判を浴びたりすることになるかも知れない・・・ 彼らは一人の人間として、【事前相談】されなかったことが非常に残念でならないのだ(これも相手の立場になって考えれば分かるはずだ)。

 私も新人の頃に経験があるが、会議の場が自分に対する説教の場 になってしまうことがある。

「なぜ上司にも相談せずに発表するのか」

と出席者からはあきれられ、仕事におけるセンスを疑われてしまう・・・ 会議の場で身内に非難されることほど辛くて切ない、ビジネスパーソンにとっての醜態はない。そのような事態に陥らないように、自分の上司は必須として、あとはバランス良く最低限のメンバーに【事前相談】するようにしたい。出席者全員にする必要はない。意見が割れて収拾つかなくなるかも知れないし、個別に全員に確認するのならば、打合せ自体があまり意味のないものになってしまうからだ。

 【事前相談】は、仕事の進め方における「手続き」のようなものだから、必要最低限で構わない。ただし、必ず行うようにすることだ。では最後に確認しよう。

【事前相談】のメリット

 ・ 早めに軌道修正ができる
 ・ 事前相談した相手を「当事者」(味方)にすることができる

 この2つのメリットを理解した上で、【事前相談】の相手には誠意を持って接するとともに、上手に活用するよう心がけてみよう。

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posted by 鳴海寿俊 at 00:00| Comment(0) | 【連載】 仕事のクスリ | 更新情報をチェックする
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