2016年05月29日

『出版年鑑 2015年版』 レポート

※ 最新の 『出版年鑑 2016年版』 レポートは こちら

 遅ればせながら、『出版年鑑2015』を読んだ。
 また今回も買わずに、図書館で借りたのだけれど・・・

 2014年の書籍の売上額は、8,088億6,555万円(前年比4.1%減)、雑誌含めた全体では、1兆6,891億6,306万円(同4.6%減)という結果(p12)。書籍に着目すると、実売総金額と総発行部数はともに減少傾向は変わらなかったが、新刊出版点数については少し変化があった。

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 2005年に80,580点と8万点の大台を超えた新刊出版点数は、以降減少した年はあったものの、2013年は82,589点と過去最高を記録していた。2014年は一転、8万台こそ割らなかったものの、80,954点で着地。個人的には、粗製濫造は勘弁して欲しいので、新刊出版点数の減少は個人的には嬉しい。

 新刊出版点数の推移は以下の通り。

新刊出版点数推移(カッコ内は前年比)

01年 71,073(9.2)
02年 74,259(4.5)
03年 75,530(1.7)
04年 77,031(2.0)
05年 80,580(4.6)
06年 80,618(0.05)
07年 80,595(-0.03)
08年 79,917(-0.8)
09年 80,776(1.1)
10年 78,354(-3.0)
11年 78,902(0.7)
12年 82,204(4.2)
13年 82,589(0.5)
14年 80,954(-2.0)

* 『出版年鑑2015』 p40 より

 ミリオンセラーは実用書の 『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』(アスコム) の1点のみ。例年ミリオンセラーは3、4点出ているとのことだが、2014年は不作だったようだ。読者としては、出版点数を更に減らして、質の方を上げて欲しいものである。

(鳴海の関連記事)
 ダイヤモンド社の取り組み 「刊行点数減って売り上げが増加」 する編集者の評価方法
 書店界のゴッドファーザー「出版点数を減らせばいい。くだらない本が多すぎる」

 ちなみにベストセラーは次の通り。

長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい (健康プレミアムシリーズ)村上海賊の娘 上巻マスカレード・イブ (集英社文庫)Nのために (双葉文庫)マスカレード・ホテル
永遠の0 (講談社文庫)村上海賊の娘 下巻白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)女のいない男たち銀翼のイカロス
ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)プリズム (幻冬舎文庫)紙の月 (ハルキ文庫)面倒だから、しよう
パラドックス13 (講談社文庫)ルーズヴェルト・ゲーム (講談社文庫)おかげさまで生きる幸福な生活 (祥伝社文庫)ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫)

 つづいて、作り手である出版社の状況を推測してみる。以下は、1985年から2014年までの書籍新刊点数、書籍総発行部数、書籍実売総金額、出版社数に加えて、書籍新刊点数を出版社数で除算して割り出した1社あたり新刊点数の推移である。

 ※ 出版社数については過去の『出版年鑑』の数値を用いた。

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 雑誌を考慮に入れてないため、新刊点数を出版社数で除算すること自体、かなり荒っぽいということは承知の上で話を進めるが、1985年には1社あたり7.5点だった年間の新刊点数は、2013年には最高の23.0点となる。そして2014年は微減の22.9点。

 1社あたりの新刊点数は、書籍売上のピークの1997年にかけてグングン伸び続けた。しかしこの年を転機に出版社数と1社あたり新刊点数の推移に違いが生じてくる。出版社数が1998年から減少に転じているにも関わらず、新刊点数が伸び続けたため、1社あたり新刊点数の方は増加傾向が続いたのだ。

 ピークの1997年と2014年の数値を比較すると一目瞭然である。

●書籍新刊点数
 (1997年)62,336点 ---> (2014年)80,954点 【130%】

●出版社数
 (1997年)4,612社 ---> (2014年)3,534社 【77%】

●書籍新刊点数
 (1997年)13.5点 ---> (2014年)22.9点 【169%】

 皮肉なのは、売上が1兆1,062億円(1997年)から8,088億円(2014年)となり、ピーク時の73%となっていること。出版社数が減っても、減る前以上の点数の新刊を出し続けてる・・・ にも関わらず、出版社の減り幅以上に売上が縮小するとは、非常に残念なことである。

 試しにグラフ化してみたが、出版社数の減少、新刊点数の増加は緩やかなのに、売上の落ち込み具合と出版社1社あたりの新刊点数の増え方が急激な様子が見てとれる。出版社の経営の苦しさと編集者の負担が容易に想像できる。

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 最後に2014年の「出版・読書界10大ニュース」(p13~17)をご紹介して締めくくるとする。

 1. 特定秘密保護法施行、集団的自衛権閣議決定
 2. 著作権の改正で、新たに電子出版権が出版社に
 3. 嫌韓・嫌中本続出、批判本も
 4. 朝日新聞誤報問題で論議
 5. 「児童ポルノ禁止法」成立
 6. 日本出版者協議会のアマゾンへの出荷停止
 7. KADOKAWAとドワンゴの経営統合にみる出版社の今後
 8. 「学校司書法制化」の実現
 9. 風評被害で「美味しんぼ」議論に。「問題提起」に賛意も
10. 100周年記念で多彩な企画が相次ぐ

 あぁ、でもこれ2年前の2014年の話なんだよなぁ。もうすぐ出るかな『出版年鑑 2016年版』。出たら今度は早めに、2015年を振り返ってみよう。

頑張れ! 出版業界。読者のために・・・

(鳴海の参考記事)
 出版業界を変えてくれそうなキーパーソン[随時更新]
 『出版年鑑 2014年版』 レポート第1弾 
 『出版年鑑 2014年版』 レポート第2弾 

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posted by 鳴海寿俊 at 12:40| Comment(0) | 出版業界全般 | 更新情報をチェックする
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