2012年07月01日

「仕事をラクにする10カ条」【業務改善】と【企画発想】を取り入れたコラボレーションスキル

 今回は「仕事をラクにする10カ条」だ。

 クスリ【05】『業務改善』(クスリ05) と 『企画発想』(クスリ06) について説明してきたが、これらの2つをどう組み合わせて使うのか、ストーリー形式(語呂合わせ)で10カ条にまとめてみたのでご紹介しよう。

バーチャル座談会(登場人物)

(先輩) Aさん、Bさん、Cさんの学生時代の先輩
 「仕事のクスリ」を全てマスターした中堅サラリーマン

(Aさん) 大手小売チェーンの会社に勤務、営業推進部に所属
(Bさん) ソフトウェア開発のベンチャー企業に勤務、システム部に所属
(Cさん) 大手電機メーカーに勤務、総務部に所属

先輩
「そう言えばAくん、確か仕事の相談があるって言ってたよね?お酒が進む前に聞いておこうか」

Aさん
「そうなんですよ、実は最近会社の業績が悪いこともあって、いろんな事業部の担当者が同時に新しいプロジェクト立ち上げてきたんですよ。もう切りまわすのが大変で」

Bさん
「分かる、分かる・・・ ウチの会社は幸い業績は順調なんだけど、逆にいろんなメーカーからの引き合いが多くて。営業は売上が早く欲しいもんだから、システム開発に必要な工数を考慮せずに、勝手に納期を決めて案件を持ってくるんだよね・・・」

先輩
「2人とも大変なんだね。ところでAくん、『切りまわす』って具体的にはどんな仕事をしているんだい?」

Aさん
「まずプロジェクト体制や会議体を決めて、キックオフミーティングをやるんですよ。あとは全ての会議体に同席して、議事録を作成したり、個別打合せのコーディネートをしたり・・・」

先輩
「いわゆる、プロジェクトの事務局のような役割だね?」

Aさん
「簡単に言えばそんな感じです」

Cさん
「いわゆる雑用だよね。僕も総務の仕事だから気持ちはよく分かるよ」

Aさん
「雑用とは失敬な!雑用係の総務と一緒にするな!」

Cさん
「雑用係とは何事だ!総務だって立派な仕事だ!」

先輩
「まぁまぁ2人とも落ち着いて。昔から変わってないなぁ~。じゃいい機会だから、この前少し話した『業務改善の8原則』『オズボーンのチェックリスト』を使ってうまい方法がないか考えてみようか」

Aさん
「そうですね。確か『廃止』とか『削減』っていうのがありましたよね?」

先輩
「そうそう。それは『業務改善の8原則』だね。他には『標準化』、『機械化』、『容易化』、『計画化』、『同期化』、『分担検討』っていうのがあるよ」

Bさん
「なんだか単語だけだと分かりにくいですね~」

【業務改善の8原則】 とは? → 詳しくは こちら 

①廃止 ・・・ この仕事をやめたら何が困るか
②削減 ・・・ この仕事をもう少し手抜きできないか
③標準化 ・・・ この仕事はだれでもすぐにできるか
④機械化 ・・・ 手書きを少なくできないか
⑤容易化 ・・・ 仕事を無理にむずかしくしていないか
⑥計画化 ・・・ もっと計画的に仕事ができないか
⑦同期化 ・・・ 仕事のピークオフをならすことができないか
⑧分担検討 ・・・ 分担を変えることで効率的にできないか


出典: 『業務改善の基礎テキスト』
 (秋月隆男 著・ 日本能率協会マネジメントセンター) p119 より

業務改善の基礎テキスト (できる・使える)業務改善の基礎テキスト (できる・使える)
秋月 隆男

by G-Tools

先輩
「うん、そうだね。じゃ早速、Aくんの仕事を例に良い解決法がないか、一緒に考えてみようか」

Aさん
「まず分かりやすいのは、『廃止』と『削減』かな」先輩「確かに2つともイメージしやすいよね。要はその仕事を止めることができないか、手抜きできないか? って考えてみる方法だよ」

Aさん
「『廃止』かぁ~ プロジェクト体制や会議体は決めないわけにいかないし、会議体に出席しないと議事録も作成できないしなぁ~」

先輩
「確かに。全くその仕事をやらないわけにはいかないよね。でも少しくらい手抜きは出来ないかい?」

Bさん
「Aくん、その会議体って本当に同席しないといけないの?」

Aさん
「だって、会議体に出席しないと議事録が作成できない・・・ ん? あっそうか。事業部のメンバーが主のプロジェクトなんだから、自分達で議事録を作成してもらえばいいんだ!」

先輩
「そうそう、その観点が『削減』だね。『廃止』と『削減』はそれほど境目がないからあまり区別せずに一緒に考えても大丈夫だよ。あと個別の打合せのコーディネートだって、事業部の中にいるアシスタントのスタッフがいればその人の協力を得ることだってできるんじゃない?」

Bさん
「もしかしてそれが『分担検討』ですか?」

先輩
「その通り。『廃止』や『削減』の観点でアイデアを煮詰めていくと、結果的に別の観点が導き出されることも多いんだよ。でもせっかくだから『分担検討』の観点で解決策を考えてみようか。Bくんならどうする?」

Bさん
「Aくんが各事業部で発足したプロジェクトの会議体に同席しているのも違和感を感じたけど、そもそもプロジェクトの事務局の仕事って営業推進部の仕事なの?」

Aさん
「お~ なるほど。昔からそうだったから俺のチームがやるのが当然と思い込んでいたけど・・・」

「そもそも ○○ なの?」 という意識を常に持とう!

 そもそも・・・ 自分の仕事なの?
 そもそも・・・ やる必要あるの?

先輩
「そうなんだよ。実は、そもそも○○なのか? っていう発想がとても大切なんだよ。そしてその手掛かりになるのが『業務改善の8原則』。ところでCくん、Aくんの仕事に『標準化』や『機械化』の観点を取り入れてみたらどうなるかな?」

Cさん
「う~ん。『標準化』って誰にでもすぐに出来るようにするってことだから、プロジェクトの事務局の仕事の手順やフローを作ったら、雑用のベテランのAちゃんでなくても、他のメンバーが対応できるようになるんじゃないかな~」

Aさん
「だから雑用じゃないって言ってるじゃん! おまえの方こそ、会社宛に届いた荷物をストックルームに運んだりして、ブルーカラーの雑用係じゃん!」

Cさん
「なんだと!」

先輩
「また2人とも・・・落ち着いて。ところでCくんもその荷物運びで苦労してるんだったよね?」

Cさん
「そうなんですよ、先輩! この季節に毎日汗だくですよ」

先輩
「ところでなぜその荷物運びをしなければならないのかな?」

Cさん
「以前は宅配業者から受け取ったら、荷物をその場に一時保管していたんです。でも各部署の受取人にその都度連絡してもなかなか取りに来てくれなくて。結局その一時保管場所の荷受けスペースが一杯になってしまって・・・。退避させるのに、仕方なくストックルームに運んでいるんです」

先輩
「なるほど。それは確かに雑用係の仕事だね・・・」

Cさん
「もう、先輩まで!」

先輩
「ゴメン、ゴメン。じゃAくんの仕事の話の途中だけど、Cくんの仕事について考えてみようか」

Bさん
「そもそも、その荷物ってCくんが運ぶ必要あるの?」先輩「おっ、さすがBくん、そもそも話が板についてきたね~」

Bさん
「だって、うちの会社だったら、宅配業者のドライバーがわざわざ各部署のデスクまで運びに来てくれるよ」

Cさん
「え~っ! 宅配業者ってそんなことまでやってくれるの?」

先輩
「セキュリティの問題もあるから会社によっては難しいかも知れないけど、その発想は『廃止』の観点でもあるし、見方によっては『分担検討』でもあるね」

Aさん
「それが実現できれば、ようやくCも雑用係から解放される」

Cさん
「全くしつこいな~。でも今『分担検討』でひらめいたんだけど、各部署のデスクまで宅配業者に運ばせるのはウチの会社では難しそうだけど、荷物の受取人に連絡する役割をお願いすることはできそうです。内線電話は荷受け場所にあるし、内線番号表を見ながら宅配業者に直接電話をかけてもらえばいいんだもんね」

先輩
「そうそう。それは『削減』の観点でもあるし、考え方によってはCさんが関わることなく、荷物の受取人に連絡がいくという意味では『機械化』とも言えるね。『業務改善の8原則』の『機械化』はもともと、手書きを少なくできないか? という観点なんだけど今の時代は手書きの仕事がほとんどないから、自動化できないか? とかアナログを減らせないか?という感じで言い換えると分かりやすいよ。あとどうせ荷物が溜まってしまうのなら、宅配業者に最初からストックルームまで運んでもらうという方法もあるんじゃない?」

Cさん
「なるほど! そうすれば肉体労働から解放される」

先輩
「あとは、この仕事の場合はもともと誰でも出来る仕事だから『標準化』の観点ではなかなか導き出しにくいと思うけど、『容易化』、『計画化』、『同期化』の観点では何かアイデアは出せるかい?」

Bさん
「『容易化』って確か、仕事を無理に難しくしていないか? って観点でしたよね。例えばどうせ荷受け場所からストックルームに運ぶんだったら、Cくんが直接荷物の受取人に手渡しするのとあまり変わらないんじゃない?」

先輩
「お~っ。さすがBくん、その観点はまさに『オズボーンのチェックリスト』の『逆転』の発想でもあるね。こちらは後で詳しく話すけど、確かにどうせ荷物を運ぶのに、わざわざストックルームに移動するだけというのも、わざわざ難しくしている感じだよね。更に荷物が増えたら別のストックルームに移すとか、そんな発想になりかねないからね」

Cさん
「ギクッ。実はそろそろ今のストックルームでは足りなくなりそうなので、別のスペースを探そうとしていました・・・」

先輩
「おいおい。そんないくつもスペースを増やしていたら本当に荷物係になっちゃうぞ。ところで、あと触れていないのは『計画化』と『同期化』かな。Aくん、何かアイデアはあるかい?」

Aさん
「計画的に仕事が出来ないか?(計画化) と仕事のピークオフをならすことができないか?(同期化) という観点ですよね。例えば荷物が滞留する曜日が決まっているんだったら、毎日荷物の移動をしなくても特定の曜日に集中してやった方が効率的なんじゃないですかね」

Cさん
「事業部の雑用係の割にいいこと言うじゃん」

先輩
「こらこら。でもAくんが言っているのは、ピークオフを無くすって発想だから、まさに『同期化』だね。『計画化』の観点で考えると、例えばすぐに取りに来てもらいやすい時間帯に受取人に連絡する・・・ とかね」Bさん「それって、昼休みが始まる前とか、各部署の定例ミーティングの後とかですよね。多少時間とか気持ちのゆとりがあるタイミングを見計らって連絡を入れた方がすぐに取り来てもらえる可能性が高そうですから」

先輩
「鋭い! 僕もそう思ったよ。ところでAくんの仕事に『計画化』と『同期化』の観点を取り入れてみたらどうなるかな?」

Aさん
「各事業部がバラバラでプロジェクトをスタートするから、営業推進部が忙しくなるんだよな。そもそも営業推進部の仕事なのか? なんて口が裂けても言えないから、せめて各事業部から年間プロジェクトの稼働スケジュールを出してもらって、事業部同士でスケジュールをずらすとか調整できるといいんだけど・・・」

先輩
「素晴らしいね! まさに模範解答だよ。その調整役を営業推進部が担うことができたら、事業部の雑用係なんて言われない(笑)」

Cさん
「うん、言わない。それがAちゃんに 『もし』できたらね・・・」

先輩
「こら、Cくん、水を差さない!」

Aさん
「・・・ったく!」

Bさん
「ところで先輩、さっき話してくれた『オズボーンのチェックリスト』の方も詳しく教えてくれませんか?」

先輩
「あ~そうだったね。ところでBくんは今、仕事で困っていることはあるかな?」

Bさん
「えぇ、実はさっきちょっと言いかけたんですが、Aくんと状況は似ていて、今いろんなメーカーの開発案件が矢継ぎ早に来るので、キャパオーバー気味なんですよね・・・」

先輩
「なるほど。ところでさっき触れた『逆転』の発想で何か思いつくことはあるかい?」

Bさん
「そうですね~ 『オズボーンのチェックリスト』の『逆転』ですよね・・・『逆転』と言うと、例えば仕事を逆に増やすとか・・・。ん? でもそれじゃ全然楽にならないや」

先輩
「ハハハ(笑)。確かに逆過ぎるかな・・・でも発想の仕方はそんな感じだよ。『オズボーンのチェックリスト』には他に、『転用』、『応用』、『変更』、『拡大』、『縮小』、『代用』、『置換』、『結合』があるんだけど覚えているかな?」


「オズボーンのチェックリスト」とは? ⇒ 詳細は こちら

①転用 ・・・ 他に使い道はないか
②応用 ・・・ 他からアイデアが借りられないか
③変更 ・・・ 変えてみたらどうか
④拡大 ・・・ 大きくしてみたらどうか
⑤縮小 ・・・ 小さくしてみたらどうか
⑥代用 ・・・ 他のものでは代用できないか
⑦置換 ・・・ 入れ替えてみたらどうか
⑧逆転 ・・・ 逆にしてみたらどうか
⑨結合 ・・・ 組み合わせてみたらどうか

Cさん
「何だか『業務改善の8原則』と似ているものもあるんですよね・・・。たくさんあり過ぎてさすがに全部は覚えられないなぁ~」

先輩
「そうだね。『オズボーンのチェックリスト』は本来、企画発想の手法だから、クリエイティブな仕事をする時はこの9個が必須なんだろうけど。仕事をラクにするという目的の場合には、『業務改善の8原則』に加えて、せいぜい『転用』、『拡大』、『逆転』、『結合』の4個だけで十分かも知れないね」

仕事をラクにする10カ条

●は『業務改善の8原則』、○は『オズボーンのチェックリスト』の観点より抜粋。
仕事をラクにする上で必要な観点は次の10個で十分。

●「廃止」&「削減」 → 手抜きをする
●「機械化」 → 機械化する、アナログを減らす
●「容易化」 → 簡単にする、難しくしない
●「標準化」 → 誰でもできるようにする
●「分担検討」 → 誰かに引き継く
●「計画化」&「同期化」 → 計画的にする、ピークをならす

○「拡大」 → 拡大して考える
○「結合」 → 組み合わせて考える
○「逆転」 → 逆に考える
○「転用」 → 転用を考える


【覚え方のヒント(語呂合わせ)】

手抜き、機械化、簡単に、誰でも、誰かに、計画的に!
結核(結合、拡大)、逆転よ! (逆転、転用)

先輩
「かなり無理やりな語呂合わせだけど・・・。必要最低限の10個は『手抜き、機械化、簡単に、誰でも、誰かに、計画的に!  結核(結合、拡大)、逆転よ!(逆転、転用)』で覚えられる(笑)」

Cさん
「おぉ~。確かに無理やり感はありますが、ないよりはマシですね・・・」

Aさん
「意外とイケますよ! 結核のところとか(笑)」

先輩
「実は僕も気に入ってる(笑)。前半は一応しりとりっぽくなってるし。それはさておき、話を戻そうか・・・ Bくん、システム開発の仕事に『オズボーンのチェックリスト』の『結合』、『拡大』、『逆転』、『転用』のいずれかの観点で考えみたら何か変えられそうかい?」

Bさん
「・・・。先輩、さっきから考えてるんですけど何だかピンと来なくて。Aくん、Cくんの仕事については簡単に思いついたのに・・・ すみません」

先輩
「そう気にすることはないよ。実は、仕事をラクにしようと考える時には、いきなり『オズボーンのチェックリスト』を使うのは難しいんだよ」

Aさん
「えっ、どういうことですか?」

Cさん
「それはつまり、先に『業務改善の8原則』を使えってことですかね?」

先輩
「その通り! 先ほどの語呂合わせの順番、つまり『業務改善の8原則』で考え始めながら、出てきたアイデアに『オズボーンのチェックリスト』の観点を取り入れるのがコツなんだよ」

仕事をラクにするコツは

「業務改善」の手法に「企画発想」を取り入れる!

「業務改善の8原則」と「オズボーンのチェックリスト」
 の両刀使いになること!

Aさん
「へぇ~ そうなんだ」

Bさん
「実は『業務改善の8原則』の方は、さっきAくんとCくんの話を聞きながら、考えていたんですが・・・」

先輩
「うん、話してごらん」

Bさん
「一番考えやすかったのが『分担検討』でした。メーカーから依頼を受ける開発案件は全て自社で開発を行うのですが、営業部門には言いにくいのですが、開発の一部を依頼主のメーカーのシステム部門に行ってもらうとか、テスト確認を共同でやるとか・・・ それができればラクになるのに、って考えてました」

先輩
「そうだね。まさに『分担検討』のアプローチだね。開発メンバーも限られているだろうしね・・・ 続けてごらん」

Bさん
「次に『計画化』と『同期化』の観点でアイデアが浮かびました。今の仕事の流れは、営業担当がクライアントであるメーカーとの間で、開発内容とスケジュールが決められた後に、システム担当である私のところに案件が飛び込んでくる、という感じの受け身なんです。もし営業担当とメーカーとの打合せ段階でシステム担当も参加できれば、案件の混み具合を考慮してスケジューリングできるんじゃないかと思いました」

先輩
「素晴らしい発想だね。システム開発部門と営業部門とが互いの年間予算やスケジュールを共有し合えると、いろいろなストレスがなくなるかも知れないね。他にあるかい?」

Bさん
「『標準化』の観点では、既にドキュメントの類はフォーマットやフローを定めて運用されているし・・・新しいアイデアは浮かびませんでした。あと『機械化』と『容易化』の観点についてもあまりしっくりきませんでした」

Aさん
「私の場合もアイデアが出しやすい観点となかなかアイデアが浮かばない観点がありました」

先輩
「実は最初に言うべきだったかも知れないんだけど、全ての観点で必ずアイデアを導かなければならないというわけではないんだよ。クリエイティブな仕事の場合は、あらゆるアイデアを出し尽した後、ベストな案をチョイスするかも知れないけど、仕事をラクにする場合は実現性の高いアイデアが浮かんだら、まず突き進んでやってみることの方が大事なんだよ」

「業務改善の8原則」と「オズボーンのチェックリスト」

 ●全ての観点で必ずしもアイデアを導き出す必要はない!
 ●実現性の高いアイデアが出たらすぐやってみること!

 → 少しずつ仕事を変えてラクにすることが大切

Cさん
「全ての観点でアイデアを出さなくて良いのなら気軽に 取り組みやすいですね!」

Aさん
「しかも少しずつラクになって前に進むと、気持ちも ラクになりますよね!」

先輩
「そう! 新商品のアイデアを出しているんじゃないから、少しずつ仕事を変えてラクにする方が賢明だよ。あと導き方にも コツがあって、さっきも少し話したけど語呂合わせの順番に考えてみるといいよ」

Aさん
「結核ってやつですねっ(笑)」

先輩
「そうそう・・・ っていうか結核は最後の方だけどね(笑)。まずは『手抜き、機械化、簡単に』からやってみようか」

Cさん
「『廃止』と『削減』の観点の『手抜き』ですね。その次は『機械化』と『容易化』か・・・」

先輩
「うん、やっぱり『廃止』と『削減』の観点が一番攻めやすい。抜きするには? って考えると慣れてくれば自然に『機械化』や『容易化』の発想も出てくる・・・」

Aさん
「なるほど。そして次は『誰でも、誰かに、計画的に』ですね」

先輩
「そう。『業務改善の8原則』の観点の言葉で言うと、『標準化』、『分担検討』、『計画化』&『同期化』だね。たいてい『標準化』の観点は自然と出てくるし、いつの間に引き継ぎ相手も考え始めるから『分担検討』の観点でも考え始めてる。最後は『計画化』と『同期化』かな。実はこの最後の2つはなかなか思いつきにくい。でもこうやって語呂合わせの順番に考えていくと スムーズにいくようになるよ」

Bさん
「へぇ~ アイデアを出していくのにもコツがあるんですね」

先輩
「慣れて来るとアレンジして自分なりのやり方が自然とできるようになるよ。さて次はBくんが苦労していた『オズボーンのチェックリスト』の話に戻そうか」

Bさん
「よろしくお願いします!」

先輩
「実は、Bくんは既に『オズボーンのチェックリスト』を取り入れやすいアイデアを導き出しているんだけど 気付かなかったかい?」

Bさん
「えっ?」

先輩
「『業務改善の8原則』の『分担検討』で導いた、一部の開発を自社で行わずに依頼主のメーカーにやってもらうっていう話・・・ 例えばこれに『オズボーンのチェックリスト』の『拡大』の観点を取り入れてみたらどうなる?」

Bさん
「う~ん。『拡大』ですよね? キャパオーバーの時だけクライアントに手伝ってもらうのではなく、『拡大』ってことはいろんな案件でそれをやるってことですよね?」

先輩
「うん、そういう切り口もあるよね。答えは1つじゃないからね」

Cさん
「開発マニュアルみたいなものがあれば、外部の会社のシステム担当ならスムーズに開発できるんじゃない?」

Bさん
「なるほど! オープンソースみたいな感じだな」

Aさん
「営業部門に身を置いている立場から言わせてもらうと、今までやっていた受託開発のプログラムを例えばパーツ化して、外部の会社が少し手を加えればカスタマイズできるようなソフトウェアにできれば、商品として販売できるんじゃないの?」

先輩
「お~っ。素晴らしいね! そうそう、それが『拡大』の観点だよ」

Bさん
「確かにプログラムをパーツ化して、外部の会社のシステム担当がカスタマイズできるようなソフトウェアになれば、今のように最初から最後まで全て開発する案件がなくなって楽になる・・・ でもそこまでの過程が大変だなぁ~」

先輩
「確かにプログラムのパーツ化って言ってもね~ そう簡単じゃないよね。でも『オズボーンのチェックリスト』の観点の特長は、このようにダイナミックな発想が生まれることにあるんだよ。Bくんはそこに至るまでの過程が大変って言ったけど、ソフトウェア会社にとっては受託の開発だけの売上ではなく、手離れの良いソフトウェア商品が新たに生まれるわけだから、完全な受託開発案件を減らしてでもパーツ化して商品化しろ、って言う話になるかもよ」

Bさん
「へぇ~面白いですね。仕事は増えて忙しくなるかもしれないけど、やりがいはありそうですね。今より精神衛生上はいいかも知れない(笑)」

Aさん
「結核なのにね(笑)」

Cさん
「ウマい!」

先輩
「そうそう(笑)。『業務改善の8原則』だけだと仕事をラクにするという志向が強く出るけど、型にはまりやすいんだよね。その点『オズボーンのチェックリスト』の観点でアイデア出しをすると、仕事を大きなレベルかつ新しい枠組みで考えられるようになり、ダイナミックな変化が期待できるんだよ」

「業務改善の8原則」と「オズボーンのチェックリスト」の特長

「業務改善の8原則」は仕事をラクにするという志向が強く出るが型にはまりやすい。「オズボーンのチェックリスト」では、仕事を大きなレベルかつ新しい枠組みで考えられるので、ダイナミックな「仕事の変化」が期待できる。

Cさん
「仕事量は変わらないかもしれないのに、気持ちはラクになるかもしれないって不思議ですね!」

先輩
「そう。実は仮に仕事量が増えたとしても、気持ちはラクになるかもしれないんだよ! 僕が学んだ『仕事のクスリ』って本には、『業務改善』の手法に『企画発想』を取り入れているからこそって書いてあったよ」

Bさん
「さすが先輩!勉強してるなぁ~。ところで他の観点でも 考えてみていいですか。例えば『転用』だったら・・・」

先輩
「うん、うん」

Bさん
「やっぱり難しいなぁ~」

Aさん
「プログラムのパーツ化とソフトウェアの商品化がされることが 前提になるけど、今のクライアントって確か携帯電話のメーカーが多いんだよね? パソコンメーカーとか家電メーカーとかもっといろんな業界に営業がしかけられるんじゃないの? これこそまさに『転用』!」

先輩
「そうそう。商品の売り先が拡大して、売上アップの見込が立つんだったら、ソフトウェアの商品化にかける開発担当の人数も増員してもらえるんじゃない?」

Bさん
「なるほど。確かに今の体制でプログラムのパーツ化や商品化はきついけど、増員してもらえるんだったら、むしろラクになる可能性がある・・・ すごいな~『オズボーンのチェックリスト』って」

先輩
「うん・・・というよりも、業務改善の手法に企画発想を取り入れている『仕事のクスリ』の魔力だね! さぁ次は『結合』だけど、何か思いつくことはあるかい?」

Cさん
「さっき、Bくんは営業段階から開発担当が打合せに同席して・・・ って話をしてたよね。もしさっきのソフトウェアの商品化がされたら、きっと売上金額は受託して開発してあげるより安くなるんだよね? だから全ての引き合い案件に対して、ソフトウェア商品を販売するのではなく、その時々に応じて使い分ければいいんじゃない?」

Aさん
「お~っ、総務のくせに営業視点な物言い・・・」

Cさん
「えっへん!」

先輩
「Cくんのアイデアは確かに受託開発の方式とソフトウェア商品販売の方式を組み合わせている点は『結合』と言えるかもね。ちょっと現実離れしてしまうけど、取引先のメーカーとの関係がかなり密接なら、そのメーカーと 合弁会社を作ってしまう、ってアイデアも出てくるよね。パーツ化を推進して、本格的にソフトウェア開発を行い、積極的に販売する・・・ こういった発想も『オズボーンのチェックリスト』ならではのダイナミックなアイデアだよ」

Bさん
「へぇ~。壮大ですね。なんだかワクワクしてきた!」

先輩
「今度は、AくんとCくんの仕事で『オズボーンのチェックリスト』に当てはめて考えてみようか」

Aさん
「う~ん。Bくんじゃないけど、他人の仕事だといろいろ思い浮かぶのになぁ~」

先輩
「さっき、各事業部から年間プロジェクトの稼働スケジュールを出してもらって、事業部同士でスケジュールを調整できたら・・・ って言ってたよね。その辺りから何かアイデア浮かばない?」

Aさん
「あれっ!それって『オズボーンのチェックリスト』の『拡大』では?」

先輩
「へへへ、確かにそうとも言えるね。じゃ『転用』は?」

Aさん
「う~ん。例えば営業推進部では、事業部ごとの取引先の管理やアタックリストの管理もしているんですけど・・・ 以前から思っていたんですけど、別の事業部が同じ取引先に対して別々に営業を仕掛けていることがあるんです。事業部横断で情報共有できればいいのに・・・ って思うんですよね」

先輩
「それもそうだね。ところでCくんはどうだい?」

Cさん
「さっきBくんが言ってたけど、荷物はストックルームに運ぶのではなく、受取人に直接渡す方がいいような気がしてきました。『拡大』の観点ではあるんですが、やっぱり総務という仕事は社内のメンバーに感謝されてなんぼですから・・・ 忙しい時に荷物を素早く渡してあげれば喜ばれるだろうし、各部署のメンバーと良好な関係が築けるかも・・・」

Aさん
「お~っ。いいこと言う!」

Cさん
「まぁね。でも実は、荷物が届いたことを受け取る人に連絡したら、次からは自ら荷受け場所まで取りに来てくれるようになるかも知れない・・・ なんて考えが本心なんだけどね(笑)」

Bさん
「でも、それで荷物が減ってくれれば、ストックルームに運ぶ手間も減るもんね!」

先輩
「そうだね、確実に感謝されるだろうしね。一時的に仕事は増えるかも知れないけど、将来的にラクにするために今の仕事のやり方を変える・・・ という考え方は大切だね! もしかすると連絡してもなかなか荷物を取りに来てくれないのは、荷受け場所やストックルームに荷物が 溜まり過ぎていて、探すのが面倒くさかったからかも知れないね」

「仕事をラクにする」ためには?

一時的に仕事は増えるかも知れなくても、将来的にラクにするために、今の仕事のやり方を変える! という発想が大切

Aさん
「確かに。忙しい部署のメンバーならなおさら荷物を取りに行くのが面倒くさいや。溜まっている荷物が減れば、すぐに自分の荷物が探せるようになるから、こんな俺でも取りに行くかも・・・ たまにだけど(笑)」

先輩
「たまにでも、そういう気持ちを持ってくれる人が他にもいたら、Cくんの仕事が確実に減るわけだしね。そしてストックルーム自体がなくても済むかも知れないから・・・」

Cさん
「そうですね。『業務改善の8原則』だけでは自分の仕事をラクにするという方向でしかアイデアが出にくかったんですが、『オズボーンのチェックリスト』を取り入れることで広い視野で仕事について考えることができるようになりますね」

先輩
「繰り返しになるけど、『オズボーンのチェックリスト』を使うコツはまず『業務改善の8原則』からアイデアを導き出すこと!」

Bさん
「例の語呂合わせの 『手抜き(廃止、削減)、機械化、簡単に(容易化)、誰でも(標準化)、誰かに(分担検討)、計画的に!(計画化、同期化) 結核(結合、拡大)、逆転よ!(逆転、転用)』 の順番ですね?」

先輩
「そう、そう。この際、『オズボーンのチェックリスト』の方は、『結合』、『拡大』、『逆転』、『転用』の4個に絞ってしまう。他の5つ、『応用』、『変更』、『縮小』、『代用』、『置換』は思い切って忘れてしまってかまわない。これらは『業務改善の8原則』が頭に入っていれば自然と網羅できることが多いからね」

Aさん
「まさに両刀使いですね、先輩!」

先輩
「項目は10カ条なんだけどね。ちょうど10個だから、もしどうしても覚えられなかったら、指先1本ずつマジックで書いておいたらいいんじゃない?」

3人
「いやいや、先輩・・・ 少し酔って来ましたか? 僕たちそんなに馬鹿じゃないですから(笑)」

先輩
「冗談、冗談(笑)。でも3人ともいいアイデアを出していたよ! 後半は両刀使いになれる兆しも見えてきたからね。とにかく日々の仕事に疑問を持ち、常に仕事を変化させることを考える癖をつけるといいと思うよ」

3人
「ありがとうございました!」

先輩
「じゃ最後にもう一度、例の語呂合わせ言ってみようか!」

3人
「手抜き(廃止、削減)、機械化、簡単に(容易化)、誰でも(標準化)、誰かに(分担検討)、計画的に!(計画化、同期化) 結核(結合、拡大)、逆転よ!(逆転、転用)」

先輩
「グッジョブ!」 (親指を突き立てながら)

Aさん
「せ、先輩! その親指・・・」

Bさん
「『手抜き』って書いてありますけど・・・」

Cさん
「せっ、センパ~イ(泣)」

先輩
「こ、これは違うんだっ!」 (両手の手のひらを前に突き出しながら)

3人
「・・・」 (先輩の指10本全てにマジックで書かれている文字に絶句)



いかがだろうか。

【業務改善の8原則】も【オズボーンのチェックリスト】もこんな感じで語呂合わせで覚えられたら、日々の業務でも使えるはず・・・ 是非、参考にして欲しい。

【連載コラム】 病む前に効く!仕事を減らしてラクになれる『仕事のクスリ』
 ┣ クスリ【01】『キャッチボール』  相手と気持ち良く仕事をするためのコツ
 ┣ クスリ【02】『インプット』 厳しいスケジュールで仕事を引き受けずに済むコツ
 ┣ クスリ【03】『スケジューリングの3機能』 仕事の遅延を未然に防ぎ【ゆとり】を手に入れる
 ┣ クスリ【04】『プライオリティー』 自己管理能力を高める仕事の優先順位決めのコツ
 ┣ クスリ【05】『業務改善』 【任せる】以前に【仕事自体をなくす】ためのアプローチ
 ┣ クスリ【06】『企画発想』 【仕事を変化させる】ことによりラクにするアプローチ
 ┣ クスリ【07】『自己否定』 自分の仕事が発生しなくなるテクニック
 ┣ クスリ【08】『未然防止・根本解決』 仕事の発生源を断ち仕事自体を発生させないコツ
 ┣ クスリ【09】『事前相談』 相手を味方につけて思い通りに仕事を進めるコツ
 ┣ クスリ【10】『あえて従う』 意見の食い違う上司に優越感を感じる究極の【上から目線】
 ┣ クスリ【11】『やり過ごす』 上司から面倒な仕事を押しつけられないようにするコツ
 ┣ クスリ【12】『美しい体裁』 相手の信頼を勝ち取り細かいチェックを受けずに済むコツ

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posted by 鳴海寿俊 at 00:00| Comment(0) | 【連載】 仕事のクスリ | 更新情報をチェックする
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