2017年03月27日

電子が紙の本の販売を促進!出版市場再生の打開策とは?(2)

→→ つづき(はじめから読みたい方は こちら )

 紙+電子の出版市場が停滞しているのは、読書自体の時間が減っているからであり、読書以外にも使えるスマートフォンやタブレットの使用時間が減らない限り、(たとえ紙に電子を足しても)今の出版市場の規模の維持は難しいと 前回記事(1) で私の推論を述べた。

 ではスマートフォンにどれだけの時間とお金が費やされているのだろうか?

 スマートフォン視聴率の調査を行っている ニールセン  によれば、2016年4月時点で次のような結果となっている。

 ● スマートフォン利用者数: 5,496万人
 ● 1人あたり1日の平均利用時間: 2時間11分
 ● アプリ利用:80% / WEBブラウザ利用:20%


(出典)ニールセン調べ 2016/05/31 ニュースリリース  より
2016年4月スマートフォン視聴率情報Nielsen Mobile NetView[日本全国の8,000名(iOS、Android各4,000名)の調査協力モニターから取得するアクセスログ情報を元に作成]

 なんと2時間超! スマートフォンがなかった時代はこの時間がゼロだったことを考えると、全てではないにせよ、読書時間がスマートフォンに奪われたという推論にも合点がいくのではなかろうか。

 一方、お金は? というと、一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF) による 2015年モバイルコンテンツ関連市場の発表データ  が参考になる。

MCF2015_graph01.jpg
(出典)一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)調べ
 2015年モバイルコンテンツ関連市場の発表データ

(注意)
「※鳴海の試算」はニールセン調べのスマートフォン利用者数5,496万人で除算して算出

 なんと、2015年のスマートフォンコンテンツ市場は
 1兆4,623億円。


 同年の紙の書籍・雑誌の市場規模1兆5,220億円(出版科学研究所調べ)に匹敵する規模である。スマートフォンコンテンツの中には「電子書籍」(コミック・雑誌含む)も入っているが、残念ながら占める割合は11%(1人あたり年間2,951円)と心もとない・・・

 ちなみに最大占有率66%の「ゲーム・ソーシャルゲーム等市場」は9,628億円。これは、オンラインゲーム、SNS等での課金コンテンツ、アバター、アイテム等とある。額こそ、1人あたり年間で17,518円程度だが、スマートフォン自体の購入費用や利用料金をふまえると、スマートフォンがなかった頃には、本の購入に充てられていたお金がスマートフォンに奪われてしまったのではないか・・・ という推論は容易だ。



 では、そろそろ締めくくりに入ろう。

 前回記事(1)もふまえて、ポイントを列挙すると以下の7点となる。

① 読書専用の電子書籍リーダーで電子書籍を読む割合は約1割(9.3%)
  (スマートフォンで読む割合が33.7%で一番多い)


 しかしながら・・・ スマートフォンコンテンツにおける電子書籍のウエイトは低く

② スマートフォンコンテンツにおける出費が一番多いのは66%を占めるゲーム・SNS
 (市場規模9,628億円)


③ スマートフォンの1日あたりの平均利用時間は2時間超

④ 電子書籍市場におけるコミックの比率は約8割
 (文字ものが約2割)


⑤ 電子が紙の本との相乗効果を生み、販売促進を担えるとの意見あり

 とは言え、コミック市場に関して言えば、紙+電子は横ばい

⑥ 電子コミックの伸びが紙のコミックの落ち込みをカバーしきれず
 (電子が紙の市場を奪っている可能性)


shukkaken_comic14_16graph01.jpg
(出典)出版科学研究所調べ
 2016年のコミック(紙+電子)市場を発表

 伸びしろは、①電子書籍リーダーによる読書と④文字ものの電子書籍。駆逐すべきはスマートフォンに費やす②お金と③時間ではないか・・・ という仮説が立つ。

鳴海が考える「出版市場再生の打開策」は

● 電子書籍リーダー(KindleやKoboなど)の更なる普及


 によって

● スマートフォンに費やす時間とお金を奪還


 スマートフォンがなかった時代の時のように、文字ものの読書時間を増やしてもらい

● 文字ものの電子書籍市場を拡大
 (電子書籍の伸びしろはコミックではなく、文字もの)

 電子の比率が高まれば、紙の落ち込みは更に激しくなると思われるが、その落ち込みをカバーすべく、相乗効果を最大化させることを業界一丸となって目指して欲しい! 成功すれば、紙+電子の出版市場自体は再拡大できるのではないだろうか。

 スマートフォンのゲーム・SNS市場9,628億円のうちの約半分(0.4兆円)でも、電子書籍が奪い返すことができれば・・・

今の出版市場(紙+電子)約1.6兆円を
約2.0兆円台に戻せるかもしれない!


 それには、ドイツの書店員が「tolino」でKindleに対抗するために、リアル書店で電子書籍リーダーを販売するという決断をしたのと同様の覚悟が必要かも知れない(関連記事は こちら )。

打開策は日本版「tolino」だ!
紙にこだわらずに電子 "も" 売ろう! リアル書店で!
そして、昔の読書風景を取り戻そう!




●鳴海の Kindleユーザーレポート
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タグ:出版市場
posted by 鳴海寿俊 at 00:00| Comment(0) | ネット・電子書籍 | 更新情報をチェックする
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