2017年05月07日

書協『2016年書籍の出版企画・製作等に関する実態調査(第5回)』過去調査からの推移分析(2)

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■出版企画について

設問1.出版企画について

(7)単行本の企画から刊行まで、どのくらいの期間を要しますか。


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* 第1回、第2回は自由回答(第3回以降はアンケート用紙が掲載されていないが回答を選択肢から選ぶ方式と推測)のため記述はバラバラであるが、「最短」だけは矛盾なく、第3回以降の期間に当て込むことができたので集計を行った上で表に埋めた。「平均」と「最長」については、第1回、第2回との比較が困難であるため割愛した。

* 第5回の「平均」については、原典に記載の割合の算出結果が明らかにおかしく、不備と思われるが、記載の比率をそのまま表に埋めた。

* 四捨五入の関係で合計が必ずしも100%にならない。


出典: 『2016年書籍の出版企画・製作等に関する実態調査(第5回)』

 単行本の刊行までの「最短」期間は、「少なくとも本づくりに最低〇カ月はかける」と言い換えることができ、出版社の姿勢が試されるところだ。結果はわずか「1~3カ月」で刊行してしまう割合は、1994年で38.6%だったが、2001年には約5割(49.6%)に跳ね上がっている。

 『出版年鑑2016年版』(紹介記事はこちら)によれば、2001年の書籍の新刊点数は7.1万点。初めて7万点の大台を超えた。ちなみに1994年の新刊点数は5.4万点。2001年の点数は+1.7万点と増えているのに、実売金額は1994年の10,340億円に対して、2001年は10,032億円と逆に減っている。本づくりの期間が減ったが故に質の劣化を招き、実売が思うように伸びなかったと言えないだろうか。

 その後、わずか「1~3カ月」で刊行してしまう割合は、2005年 40.7%、2009年 44.9%、2016年 41.7%と波はあるものの数字は落ち着いてきているように見える。新刊点数も、2005年 8.1万点、2009年 8.1万点、2015年 8.0万点(2016年は未確認)と横ばいだ(『出版年鑑2016年版』 より)。

 しかし深刻なのは、実売金額。新刊点数は横ばいだが、実売金額は 2005年 9,879億円、2009年 9,138億円、2015年 7,936億円と落ち込みが止まらない(『出版年鑑2016年版』 より)。

 外部環境の影響もあるかも知れないが、内部環境にも変化があるようだ。次は、編集関係について読み解いていく。


■編集関係について

設問2.編集関係について

(1)編集者一人あたり、1年間に平均何点を仕上げますか。

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* 第1回は自由回答に伴い単純比較が困難なため割愛
* 四捨五入の関係で合計が必ずしも100%にならない。


(3)編集作業を外注することがありますか。
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(3)-3 外注する理由は何ですか。
(複数回答可)

 ① 期日を短縮するため ・・・ 2009年 66.3% → 2016年 57.4%
 ② 専門性が高いため ・・・ 2009年 39.8% → 2016年 46.2%
 ③ 費用を安く抑えるため ・・・ 2009年 34.8% → 2016年 21.5%
 ④ 人手不足 ・・・ 2009年 8.3% → 2016年 11.8%

* 回答対象社は、第4回(2009年)が181社、第5回(2016年)が195社
* 上位回答の順番は第4回、第5回とも変わらず
* 第1~3回は外注費用の高低、期日の長短のみを尋ねており比較できないため割愛した。


出典: 『2016年書籍の出版企画・製作等に関する実態調査(第5回)』

 編集者一人あたりの点数は、年間「5~9点」が一番多く、その傾向は第2~5回でいずれも変わらない。しかし本質を見極めるには「何点仕上げるか」の情報だけでは不足だ。

 「外注している」と「外注することがある」はいずれも、どの程度外注しているのかの頻度や量は不明である。少々荒っぽくこの2項目の比率を合計してみると、1994年の57.7%から2016年の84.4%に急増しており、外注利用が増えていることが明らかになる。

 むしろ、編集という本づくりの根幹の仕事とも言える業務を「外注しない」とした出版社が、1994年には37.0%だったにも関わらず、2016年には14.3%と半分以下となっていることに着目すべきかも知れない。

 1994年には4,487社あった出版社の数が、2015年には3,489社と約1,000社、2割以上減ってしまった(『出版年鑑2016年版』 より)ことと関係があるのか? 外注する理由の比率の変化が手掛かりになるかも知れない・・・

 理由の第1位の「期日短縮」と第3位の「費用を安く」が、2009年に対して2016年では比率が減少している。一方、第2位の「専門性高い」と第4位の「人手不足」は逆に増えている。

 もしかすると、編集者は本業の編集業務以外の仕事が増え、外注先もそれなりに専門性が高くなっていった結果、出版社が本業として保持すべき編集ノウハウや質のようなものが、外注し続けた結果として弱まってしまったのではないか?

 編集作業の外注増は、全て自社で本づくりを行うという信念を持った出版社が減ってしまったのか、それとも外注に依存し過ぎた結果、質の劣化を招いて売れなくなり、経営破綻してしまったのか・・・

 理由は定かではないが、本づくりの現場は1994年から2016年までの20年以上の年月をかけて、大きく様変わりしたことが推測できる。

つづきは こちら


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posted by 鳴海寿俊 at 22:28| Comment(0) | 出版社・著者(作り手) | 更新情報をチェックする
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