2015年03月07日

CNETJapan特集 『林智彦の「電子書籍ビジネスの真相」』 に感動

 テクノロジー&ビジネス情報のメディアサイト 『CNET Japan』 の特集記事 『林智彦の「電子書籍ビジネスの真相」』 に感動した。きっかけは業界紙 『新文化』(2015/2/19号)の林氏の 「紙+電子で成長する『書籍』」 という記事だった。

⇒CNET Japan/林智彦の「電子書籍ビジネスの真相」最新記事(2015/03/06 08:30)
 「活字離れ」論に最終決着?--電子書籍を含めれば「不読率」は激減している
 
 『出版指標年報』(全国出版協会・出版科学研究所) や 『出版年鑑』(出版ニュース社)などの売上データが取次経由の売上をもとにしており、出版社による書店やアマゾンなどとの直接取引分が対象外となっていること、電子出版の統計がこれとは別に存在していることなどに触れ、紙と電子を含めた「(総合)出版物」における統計の必要性を訴えている点に共感した。

 出版科学研究所は1月26日、取次ルートにおける2014年の出版物推定販売金額が前年比4.5%減の1兆6065億円と発表した(参考web 『Shinbunka ONLINE』 )。1950年の調査開始以来、最大の落ち込みとなり、各種メディアが出版不況の深刻化を報じたようだが、林氏は冷静にこう述べている。

 出版界は、現時点の統計の前提条件を知り、それに振り回されないことが肝要だ。一方で、出版市場全体をさらによく把握できるように、紙と電子を合わせた統計のあるべき姿、業界全体で議論すべき時だろう。

* 『新文化』(2015/2/19号)「紙+電子で成長する『書籍』」記事より

 出版業界は自身の市場状況を把握しにくい構造だとすると、林氏の述べる通り、売上がどうこう言う前に統計の取り方を見直すというのは好アプローチかも知れない。そして CNET Japanの特集記事「「『出版不況』再び--本・雑誌が売れないのは“活字離れ”のせい?」(page 4) でこう述べている。

 コンテンツとしての「出版物」に対するニーズは、少なくとも「書籍」に関しては、いささかも衰えてはいないと考えられます。
 で、あれば、われわれの成すべきことは、根拠・定義不明な「出版不況」論や「活字離れ」論に溺れ、「電子出版」の欠点を論ったり、自らの無力を嘆いたりすることではありえないでしょう。
 これまでの出版の美点を伸ばし、欠点を減らすために、「電子出版」のポテンシャルをどう活かすのか。電子出版が「出版」の姿を変えつつあるプロセスに、どう貢献し、産業をどう拡大していくのか。
 そのような問いにコミットせず、ただただ昔話をするだけの「出版論」は、もう終わりにしてほしい。そう思うのは、私だけでしょうか?

* CNET Japan特集記事
 「『出版不況』再び--本・雑誌が売れないのは“活字離れ”のせい?(page 4)」 より

同感である (もう " 超 " が付くくらいだ)!

 CNET Japanの林氏の掲載コンテンツは次のとおり。説得力のあるデータをふまえながら、淡々と旧態依然とした出版業界を斬る提言は、良書に出会えないストレスを抱えた読者にとっては快感に違いない。久々に 「出版業界を変えてくれそうなキーパーソン」 に出会えた気がして嬉しい。

CNET Japan特集 : 林智彦の「電子書籍ビジネスの真相」

(記事一覧リンク)

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posted by 鳴海寿俊 at 22:50| Comment(0) | ネット・電子書籍 | 更新情報をチェックする

電子書籍を読んでいる男女600人に聞いた「電子書籍に関する調査」結果

 こちら に直近3年以内に電子書籍を読んでいる全国の20歳~49歳の男女600人に聞いた「電子書籍に関する調査」の結果がプレスリリース記事として掲載されている。

 調査は、今年の1月29、30日に登録モニターを対象に、アンケートサイト「アイリサーチ」上で行われたもの。このサイトを運営し、実際に調査を行った総合マーケティング支援を行う株式会社ネオマーケティングは次のように考察している。

電子書籍を読む方の、紙書籍の読書量はあまり変化がないと言えるのかもしれません。(中略)どのような媒体であっても読書をする方は読書をすると言えるのではないでしょうか。

 全く違和感のない分析だ。紙の本での読書経験が少ない人がいきなり、電子書籍でたくさん読書するようになるとは考えにくい。ただこの " 読書 " という言葉が意味するところは人によってかなり定義が異なる。漫画・コミックや新聞、果たして写真集なども広義の " 読書 " ととらえて良いものか・・・ 今回の調査ではよく読む本のジャンルについて、比較的細かな分類でたずねている点が興味深い。

 よく読む本のジャンルについての回答結果は以下の通りである。

r_20150210_1.jpg
* 「あなたのよく読む本のジャンルをお答えください」に対する回答(複数回答)
 ネオマーケティング調査結果 より転載 

 今回の調査対象は、直近3年以内に電子書籍を読んでいる20代~40代。電子書籍ユーザーという点をふまえると、ほぼ半数の45.5%が少年漫画の電子版を読んでいるというのは少々驚きである(私がKindleでビジネス書ばかり読んでいるからかも知れない)。一方、新聞については紙が37.0%に対して、電子版が17.2%にとどまっているのは意外であった(これは画面サイズの問題か?本来あの大きさの新聞を電子版で読むことには心理的なハードルがあるのかな?)。

 ただこの調査結果について考える際に注意しなければならないことは、「電子書籍・紙書籍でそれぞれよく読む本のジャンル」 をたずねている点。 " それぞれ "  がポイント。詳細の調査データをダウンロードしてまで検証していないので推測の域は出ないが、質問としては電子書籍と紙書籍を比較しながら、同じ基準で「よく読む本のジャンル」の頻度をたずねているのではなく、「電子書籍の中でよく読む本のジャンル」と「紙書籍の中でよく読む本のジャンル」を別々に回答させているのではなかろうか。

 本来は読書に費やす総時間の中での電子書籍・紙書籍別/ジャンルの内訳を知りたいところであるが、そこまでは読みとれない。調査対象が電子書籍ユーザーということを考えると、電子書籍で読む時間の方が圧倒的に多いかも知れない。このような仮説を立ててみると、グラフの見え方は変わってくる。

読書量比較01.jpg
* 上記はネオマーケティングの調査結果グラフの電子書籍のグラフを残して、
 紙書籍のグラフの横幅を縮めて重ねたもの(注意:鳴海が加工したもの)


 ネオマーケティングのコメントでは、雑誌について電子書籍は27.0%の人が、紙書籍は52.5%の人がよく読むと答えたことに着目して

「電子書籍と紙書籍で最も差があったジャンルは「雑誌」となり25.5ポイントの差をつける結果となりました。やはり、「雑誌」は紙書籍で読む方が多いようです」

と述べられているが、この差に着目することはもしかするとあまり意味のないことかも知れない。言えることとしては、「(電子書籍ユーザーにとって)紙書籍に限って言えば、小説を読む割合が多い」と言うことだろう・・・ だって紙書籍の数値を見ると、雑誌52.5%に対して小説は56.5%と割合が大きいのだから。

 また読書量についてはジャンル別ではないが、1年前との比較で回答を得ている。

電子書籍と紙書籍、それぞれの読書量を1年前と比較すると、電子書籍は「とても増えた」 17.2%、「まあまあ増えた」33.8%と合計51.0%の方が増えたと回答しました。また、紙書籍の読書量は「変化はない」と回答した方は60.2% と高い結果となっており、電子書籍を読む方の、紙書籍の読書量はあまり変化がないと言えるのかもしれません。

 こちらは末尾が " かもしれません " と控え目な表現でまとめられている。こちらも " それぞれの読書量 " とあるから、電子書籍の読書量が増えたと言っても、電子書籍のラインナップがまだまだ少ない現状を考えると、読書にかける時間は圧倒的に紙書籍の方が多いのではないかという仮説も立つ。

読書量比較02.jpg
* 上記はネオマーケティングの調査結果グラフの紙書籍のグラフを残して、
 電子書籍のグラフの横幅を縮めて重ねたもの(注意:鳴海が加工したもの)


とすると、電子書籍(青グラフ)が「増えた」と言っても、読書量の総計の中でのウエイトは紙書籍には敵わないのかも知れない。ジャンル別の調査という意味では興味深い結果ではあったが、年代別/ジャンル別のより踏み込んだレポートがあると良かった。

(いや、もしかすると以下のページから詳細データのダウンロードをすれば、もっと面白いレポートが閲覧できるのかも知れない)

 ■詳細データのダウンロード
 http://m-madoguchi.neomarketing.jp/survey_detail.php?b=368&act=test 
 ■株式会社ネオマーケティング/独自調査データ無料ダウンロードサービス
 http://m-madoguchi.neomarketing.jp/survey.php 

興味のある方はダウンロードして検証してみてはいかがだろうか。
私も時間のある時に見てみることとしよう。

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『 Kindle Voyage 』 辞書いらず?英語学習にも最適!【体験レポート第3弾】
『 Kindle Voyage 』 ユーザーが使ってみて思ったこと【体験レポート第2弾】
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 「Word Wise」 (体験レポート第3弾参照)  は洋書タイトルの文章中に出てくる難しい英単語の上に、簡単な英語で言い換えた説明が自動的に表示される機能。日本語でのヒントではなく、 英単語を英語で説明するところがミソ。これはもう英語を習得したいユーザーにはたまらない機能ではないか。



posted by 鳴海寿俊 at 15:42| Comment(0) | ネット・電子書籍 | 更新情報をチェックする

2015年02月11日

買おうとした本が電子化されていないことに気づいた時の残念感をフローにしてみた【第2弾】

 ビジネス書ばかりを読んできたが、駄本を買わされ続けた不信感からしばらく敬遠。その後、

 なぜこんな本が生み出されてしまうのか!?

と疑問を抱くようになり、出版業界や「読書」そのものに興味が湧くようになった。『新文化』 や 『文化通信』 などの業界紙を読んだり、読書術や図書館などをテーマとした本を読みあさる日々が続いていた。

 しかしそれにもだんだん飽きてきた・・・

 つのってきたのは、本の作り手や売り手たちの発言に対する違和感・・・ というより嫌悪感か。一読者である私ひとりではどうすることもできないという無力感もあった。先日は、日本文藝家協会主催の 「公共図書館はほんとうに本の敵?」(2015/2/2 @紀伊國屋サザンシアター) というシンポジウム(レポートは こちら ) にまで参加してみた。著名人の発言を生で聞けて興奮したのは確かだが、やはりストレスを感じた。

 【出版業界を変えてくれそうなキーパーソン】 なんて紹介をしてみたところで、なんら変わることはない。「あ~ 無駄かもな、こんなことをしても・・・」 と思い始めた。最近湧きあがってきたのは

 一読者として純粋に良書に出会いたいな・・・

という感情だ。 『ノンフィクションはこれを読め! 2014』(成毛眞 編著/中央公論新社) のような本はいい。あと成毛眞氏が代表を務める HONZ という書評サイトの 「読むに値する『おすすめ本』を紹介する」 というコンセプト、「ベストセラーではないが、丹念に作られた本。有名ではないが、個性が光る著者。独特の視点から選び出したブックリスト、編集者の思い入れなども紹介」 するというスタンスもいい。

ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊

 私なりに、本の「購入動機」と「判断基準」を整理してみたことがあるが(鳴海の関連記事は こちら )、言ってみれば 『ノンフィクションはこれを読め! 2014』 や HONZ で紹介されている本を買おうとするのは

 (中を見ずに)無条件に買ってしまう 
 (良書か売れているかは別として)『信頼できる』 から買う


パターンなのである。でもって、Kindle版を買おうとするのだが、Kindle版が出ていない本が多い。掲載本の全てを調べたわけではないが、HONZレビュアーによる投票の結果、以下の10作品がベスト10として冒頭に紹介されているのだが、見事に半分が紙の本でしか出ていない。

 ○ Kindle版が発売されているタイトル
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 * 左から、1位/2位/3位/4位(同点)/6位 の5作品
 背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?真実  新聞が警察に跪いた日 (角川文庫)殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書)仁義なきキリスト教史

 × Kindle版が発売されていないタイトル
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 * 左から、4位(同点)/7位(同点)/7位(同点)/7位(同点)/7位(同点) の5作品
 紙つなげ!  彼らが本の紙を造っている教誨師人間と動物の病気を一緒にみる : 医療を変える汎動物学の発想名誉の殺人 母、姉妹、娘を手にかけた男たち (朝日選書)寄生虫なき病

 紙の本を購入すると 【3重のコスト】 (①購入する【お金】②書棚整理の【時間】③処分時の心理的【苦痛】) が発生すると述べたが(鳴海の関連記事は こちら )、 購入前に電子化されているか調べる手間をふまえれば、【4重のコスト】 が生じる。

 ネット書店の存在は、わざわざリアル書店に足を運ばなくて済むという利便性を上げてくれたが、電子書籍が存在している現在においては、読者の要望は贅沢になっている。

 届くまで待っていられない! 
 すぐ買ってすぐに読みたい!


のである。信頼している人(HONZなどのweb情報含む)からリコメンドされたら、(中を見ずに売れているかどうか関係なく)無条件に買ってしまうのに・・・ 紙の本でしか発売されていないことが読者をしらけさせる。その読者心理をフロー化してみると次のようになる。

kounyuuflow02.jpg

 はじめから 無条件に買う と決めているのだから、すべての書籍が電子化されていることが分かっていれば、①の確認をすることなく、電子版の購入につなげられるのに・・・ 前述のとおりまだまだ電子版の普及は遅れているから、まずここでチャンスロスが発生する。

 作り手、売り手の側からすればチャンスロスだが、読み手からすると点線黄色枠の部分は無駄な工程だ! だって、はじめから " 買う " と決めているのだから。買う気が失せて " しらけ " てしまう。

 仮に電子化されておらず、紙の本しか買えない・・・ となると 【3重のコスト】 について考えなくてならないので、購入に躊躇してしまう。だからまず借りて読んでみて、紙の本でも買う価値があるか判断しよう、となる。

 ちょうど該当の本を持っている人が見つかれば良いが、たいていの場合は図書館で貸出予約をすることになる。そこで数人待ちで借りられれば、「待つ」 という判断もあるが、話題のタイトルともなれば、何十人・何百人待ちもざら。すぐに読みたいから 「紙の本でいいから買おう」 となることもあるだろう。

 しかし、結果的に 「1回読むだけで手元に残しておく必要はない」 という本も出てくるので、たいていの場合は ③の「借りて読む」 という段階を経て、晴れて ④の「手元に置いておきたいか」 という最終ハードルを越えた時に初めて 「紙の本を買おう」 となるわけだ。

 結局、電子化されていれば読まずに販売につながるのに、紙の本を借りて読ませて、手元に置いておきたいか、という2段階の工程を踏まなければ販売につながらない。何とももったいない話である。

ノンフィクションこそ、発売時から電子化して欲しい!

 前回の 第1弾 では、私が読もうとする 本のほとんどが駄本である という前提に立って 「電子化されてない本に出会ったときの残念感」 に至るまでの読者心理をフロー化してみたが、今回は 信頼できるリコメンドを受けて無条件に(電子版を)買う と決めてからのフローを作ってみた。

このフロー、いかがだろうか。

⇒ 【TVドラマ原作本の場合】は こちら

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posted by 鳴海寿俊 at 20:53| Comment(0) | ネット・電子書籍 | 更新情報をチェックする