2015年05月10日

買おうとした本が電子化されていないことに気づいた時の残念感 【TVドラマ原作本の場合】

 先日たまたま見たTVドラマ 『恋愛時代』毎週木曜23:59~放送 読売テレビ・日本テレビ系) 。原作は 野沢尚氏 の同名著書。

恋愛時代〈上〉 (幻冬舎文庫) 恋愛時代〈下〉 (幻冬舎文庫)

 『深紅』 や 『魔笛』 などの犯罪小説で好きになった作家だが、ひょんなことで恋愛小説も書いていることを知り、手にした作品だった。

 久々に以前購入した同書を読もうと、本棚を探すも見当たらない。確か○○さんに貸したままだっけ・・・ と記憶を辿るも、何年も前に貸した本のことをたずねるのも億劫であきらめた。これだから本を(返してもらう前提で)貸すのは嫌なのだ。今後はあげる前提で貸そうと改めて思った。

 それでもやっぱりドラマを見るより、原作本の方を読みたいなと思い直した。kindle版が出ていたら買おう! と決めたのに・・・ 残念ながら紙の本しか出ていなかった。

「また1人の見込み客を失ったな(出版社は)」

そう思った。

 ドラマの視聴者の中には、次回の放映を待ちきれずに、今後の展開を知りたいという思う人も少なくないだろう。このシチュエーションで視聴者(読者)は、すでに衝動買いしようという気持ちになっている。ニーズは 「すぐに読みたい(今後の展開を知りたい)」 である。取るアクションとしては次のようなものが想定される。

 A) 書店に買いに行く(新品 or 中古)
 B) ネットで紙の本を買う(新品 or 中古)
 C) 電子版の本を買う
 D) 紙の本を借りる(知人にお願いする、図書館を利用する等)

⇒ 詳細:鳴海の関連記事
 本作りに携わる人たちに知って欲しい読者が支払う 【3重のコスト】 

 ドラマを見終わった直後にすぐに立ち上がって書店に買いに走る人は限られるだろうし(A)、借りる相手を探すのも面倒くさく、図書館に予約するといってもいつ借りられるか分からない(D)。となると(B)か(C)がお手軽。このシチュエーションは、「今後のストーリー展開を 【今すぐ知りたい】 」 という状況なので、紙か電子か? とか 新品か中古か? などにこだわる度合いは低いはず。だからおのずと(C)に収斂されるはずなのだが・・・

kindle版が出ていない!

となると、次点の(B)の行動を取るかどうか悩む。そして私の場合は、一度購入して一通り読んだこともある本だからこそ、【3重のコスト】 の発生に二の足を踏み、結局こうなってしまう。

kindle版で出ていないなら、買うのはやめよう・・・

 ちなみに私のとっての 【3重のコスト】 とは次のようなものだ。

 1.購入するための 【お金】 ← 電子版と紙の本のコスト差
 2.書棚を整理するための 【時間】
 3.処分することに対する心理的な 【痛み(抵抗感)】

 いずれも数多くの本を読む人ほど負担が大きくなる、無視できないコストである。ダメ押しで私なりにこんな整理をしてみたことがある。

(鳴海の関連記事)
買おうとした本が電子化されていないことに気づいた時の残念感をフローにしてみた【1】 
買おうとした本が電子化されていないことに気づいた時の残念感をフローにしてみた【2】 

 また次の記事によれば、嬉しいことに 「売れるタイトルこそ積極的に電子書籍化する時代」 に入りつつあるという。kindleユーザーとしては、売れる売れない関わらず、紙と電子は同時発売する前提で出版社に本づくりをして欲しいと思う。

(参考記事)
『徹底解説!電子書籍の読み方「イロハ」』 日経BP社 PC Online
(1)ベストセラーの電子書籍化率はどれほどか?(2014年9月16日)

(鳴海の関連記事)
見習うべきダイヤモンド社の取り組み 「刊行点数減って売り上げが増加」 する編集者の評価方法 

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posted by 鳴海寿俊 at 13:25| Comment(0) | ネット・電子書籍 | 更新情報をチェックする

2015年03月07日

CNETJapan特集 『林智彦の「電子書籍ビジネスの真相」』 に感動

 テクノロジー&ビジネス情報のメディアサイト 『CNET Japan』 の特集記事 『林智彦の「電子書籍ビジネスの真相」』 に感動した。きっかけは業界紙 『新文化』(2015/2/19号)の林氏の 「紙+電子で成長する『書籍』」 という記事だった。

⇒CNET Japan/林智彦の「電子書籍ビジネスの真相」最新記事(2015/03/06 08:30)
 「活字離れ」論に最終決着?--電子書籍を含めれば「不読率」は激減している
 
 『出版指標年報』(全国出版協会・出版科学研究所) や 『出版年鑑』(出版ニュース社)などの売上データが取次経由の売上をもとにしており、出版社による書店やアマゾンなどとの直接取引分が対象外となっていること、電子出版の統計がこれとは別に存在していることなどに触れ、紙と電子を含めた「(総合)出版物」における統計の必要性を訴えている点に共感した。

 出版科学研究所は1月26日、取次ルートにおける2014年の出版物推定販売金額が前年比4.5%減の1兆6065億円と発表した(参考web 『Shinbunka ONLINE』 )。1950年の調査開始以来、最大の落ち込みとなり、各種メディアが出版不況の深刻化を報じたようだが、林氏は冷静にこう述べている。

 出版界は、現時点の統計の前提条件を知り、それに振り回されないことが肝要だ。一方で、出版市場全体をさらによく把握できるように、紙と電子を合わせた統計のあるべき姿、業界全体で議論すべき時だろう。

* 『新文化』(2015/2/19号)「紙+電子で成長する『書籍』」記事より

 出版業界は自身の市場状況を把握しにくい構造だとすると、林氏の述べる通り、売上がどうこう言う前に統計の取り方を見直すというのは好アプローチかも知れない。そして CNET Japanの特集記事「「『出版不況』再び--本・雑誌が売れないのは“活字離れ”のせい?」(page 4) でこう述べている。

 コンテンツとしての「出版物」に対するニーズは、少なくとも「書籍」に関しては、いささかも衰えてはいないと考えられます。
 で、あれば、われわれの成すべきことは、根拠・定義不明な「出版不況」論や「活字離れ」論に溺れ、「電子出版」の欠点を論ったり、自らの無力を嘆いたりすることではありえないでしょう。
 これまでの出版の美点を伸ばし、欠点を減らすために、「電子出版」のポテンシャルをどう活かすのか。電子出版が「出版」の姿を変えつつあるプロセスに、どう貢献し、産業をどう拡大していくのか。
 そのような問いにコミットせず、ただただ昔話をするだけの「出版論」は、もう終わりにしてほしい。そう思うのは、私だけでしょうか?

* CNET Japan特集記事
 「『出版不況』再び--本・雑誌が売れないのは“活字離れ”のせい?(page 4)」 より

同感である (もう " 超 " が付くくらいだ)!

 CNET Japanの林氏の掲載コンテンツは次のとおり。説得力のあるデータをふまえながら、淡々と旧態依然とした出版業界を斬る提言は、良書に出会えないストレスを抱えた読者にとっては快感に違いない。久々に 「出版業界を変えてくれそうなキーパーソン」 に出会えた気がして嬉しい。

CNET Japan特集 : 林智彦の「電子書籍ビジネスの真相」

(記事一覧リンク)

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posted by 鳴海寿俊 at 22:50| Comment(0) | ネット・電子書籍 | 更新情報をチェックする

電子書籍を読んでいる男女600人に聞いた「電子書籍に関する調査」結果

 こちら に直近3年以内に電子書籍を読んでいる全国の20歳~49歳の男女600人に聞いた「電子書籍に関する調査」の結果がプレスリリース記事として掲載されている。

 調査は、今年の1月29、30日に登録モニターを対象に、アンケートサイト「アイリサーチ」上で行われたもの。このサイトを運営し、実際に調査を行った総合マーケティング支援を行う株式会社ネオマーケティングは次のように考察している。

電子書籍を読む方の、紙書籍の読書量はあまり変化がないと言えるのかもしれません。(中略)どのような媒体であっても読書をする方は読書をすると言えるのではないでしょうか。

 全く違和感のない分析だ。紙の本での読書経験が少ない人がいきなり、電子書籍でたくさん読書するようになるとは考えにくい。ただこの " 読書 " という言葉が意味するところは人によってかなり定義が異なる。漫画・コミックや新聞、果たして写真集なども広義の " 読書 " ととらえて良いものか・・・ 今回の調査ではよく読む本のジャンルについて、比較的細かな分類でたずねている点が興味深い。

 よく読む本のジャンルについての回答結果は以下の通りである。

r_20150210_1.jpg
* 「あなたのよく読む本のジャンルをお答えください」に対する回答(複数回答)
 ネオマーケティング調査結果 より転載 

 今回の調査対象は、直近3年以内に電子書籍を読んでいる20代~40代。電子書籍ユーザーという点をふまえると、ほぼ半数の45.5%が少年漫画の電子版を読んでいるというのは少々驚きである(私がKindleでビジネス書ばかり読んでいるからかも知れない)。一方、新聞については紙が37.0%に対して、電子版が17.2%にとどまっているのは意外であった(これは画面サイズの問題か?本来あの大きさの新聞を電子版で読むことには心理的なハードルがあるのかな?)。

 ただこの調査結果について考える際に注意しなければならないことは、「電子書籍・紙書籍でそれぞれよく読む本のジャンル」 をたずねている点。 " それぞれ "  がポイント。詳細の調査データをダウンロードしてまで検証していないので推測の域は出ないが、質問としては電子書籍と紙書籍を比較しながら、同じ基準で「よく読む本のジャンル」の頻度をたずねているのではなく、「電子書籍の中でよく読む本のジャンル」と「紙書籍の中でよく読む本のジャンル」を別々に回答させているのではなかろうか。

 本来は読書に費やす総時間の中での電子書籍・紙書籍別/ジャンルの内訳を知りたいところであるが、そこまでは読みとれない。調査対象が電子書籍ユーザーということを考えると、電子書籍で読む時間の方が圧倒的に多いかも知れない。このような仮説を立ててみると、グラフの見え方は変わってくる。

読書量比較01.jpg
* 上記はネオマーケティングの調査結果グラフの電子書籍のグラフを残して、
 紙書籍のグラフの横幅を縮めて重ねたもの(注意:鳴海が加工したもの)


 ネオマーケティングのコメントでは、雑誌について電子書籍は27.0%の人が、紙書籍は52.5%の人がよく読むと答えたことに着目して

「電子書籍と紙書籍で最も差があったジャンルは「雑誌」となり25.5ポイントの差をつける結果となりました。やはり、「雑誌」は紙書籍で読む方が多いようです」

と述べられているが、この差に着目することはもしかするとあまり意味のないことかも知れない。言えることとしては、「(電子書籍ユーザーにとって)紙書籍に限って言えば、小説を読む割合が多い」と言うことだろう・・・ だって紙書籍の数値を見ると、雑誌52.5%に対して小説は56.5%と割合が大きいのだから。

 また読書量についてはジャンル別ではないが、1年前との比較で回答を得ている。

電子書籍と紙書籍、それぞれの読書量を1年前と比較すると、電子書籍は「とても増えた」 17.2%、「まあまあ増えた」33.8%と合計51.0%の方が増えたと回答しました。また、紙書籍の読書量は「変化はない」と回答した方は60.2% と高い結果となっており、電子書籍を読む方の、紙書籍の読書量はあまり変化がないと言えるのかもしれません。

 こちらは末尾が " かもしれません " と控え目な表現でまとめられている。こちらも " それぞれの読書量 " とあるから、電子書籍の読書量が増えたと言っても、電子書籍のラインナップがまだまだ少ない現状を考えると、読書にかける時間は圧倒的に紙書籍の方が多いのではないかという仮説も立つ。

読書量比較02.jpg
* 上記はネオマーケティングの調査結果グラフの紙書籍のグラフを残して、
 電子書籍のグラフの横幅を縮めて重ねたもの(注意:鳴海が加工したもの)


とすると、電子書籍(青グラフ)が「増えた」と言っても、読書量の総計の中でのウエイトは紙書籍には敵わないのかも知れない。ジャンル別の調査という意味では興味深い結果ではあったが、年代別/ジャンル別のより踏み込んだレポートがあると良かった。

(いや、もしかすると以下のページから詳細データのダウンロードをすれば、もっと面白いレポートが閲覧できるのかも知れない)

 ■詳細データのダウンロード
 http://m-madoguchi.neomarketing.jp/survey_detail.php?b=368&act=test 
 ■株式会社ネオマーケティング/独自調査データ無料ダウンロードサービス
 http://m-madoguchi.neomarketing.jp/survey.php 

興味のある方はダウンロードして検証してみてはいかがだろうか。
私も時間のある時に見てみることとしよう。

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『 Kindle Voyage 』 辞書いらず?英語学習にも最適!【体験レポート第3弾】
『 Kindle Voyage 』 ユーザーが使ってみて思ったこと【体験レポート第2弾】
『 Kindle Voyage 』 届いた!【体験レポート第1弾】

 「Word Wise」 (体験レポート第3弾参照)  は洋書タイトルの文章中に出てくる難しい英単語の上に、簡単な英語で言い換えた説明が自動的に表示される機能。日本語でのヒントではなく、 英単語を英語で説明するところがミソ。これはもう英語を習得したいユーザーにはたまらない機能ではないか。



posted by 鳴海寿俊 at 15:42| Comment(0) | ネット・電子書籍 | 更新情報をチェックする